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2016/10/19更新

リクルート、進化を止めないIT現場力 システム開発のリアル

  • 米谷 修
  • 発刊:2016年9月
  • 総ページ数:184P

99分

2P

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各論こそすべて

「他人任せにしない」「自分の目で見て確認する」。これらの行動原理の重要性を「総論と各論」という表現に言い換えて説明する。

企業システムの開発プロジェクトでは、ビジネスゴールを達成するために「これだけの機能を実装する」「この日までに開発を終える」「予算をいくら以内に収める」といった目標をよく掲げる。これらが、開発プロジェクト運営における「総論」である。

これに対して開発プロジェクト運営における「各論」とは、プロジェクト全体を構成する数多くのサブプロジェクトのゴールや、ゴールに至るまでのプロセスを指す。具体的には、開発プロセスの定義の仕方から始まり、設計書のフォーマット、テスト仕様書のフォーマットなどプロジェクト管理のあり方、コーディングルールやテストの仕方、コードの品質の指標と言った技術面での約束事、さらにはハードウェアの選定や評価といったインフラ面での各種のプロセスなどである。

一般的に、開発プロジェクト全体を統括する立場にある者、あるいはシステム開発を外注する立場にいる者は「各論は外注先に任せておけばいい」「自分たちは総論さえ押さえておけばOK 」と考えがちである。開発しようとするシステムの「機能」「品質」「納期」「コスト」、つまり総論は管理する者の、開発プロジェクトの中で発生する細かい各論は、現場の担当者に任せておけばいいというわけである。

しかし、たとえ作業を管理する立場にある者でも、きちんと各論を理解しておくべきである。各論に一切踏み込むことなく、プロジェクトの管理タスクだけに終始しても、システムはなんとか出来上がるかもしれない。しかし、万が一問題が発生した時、管理する側が各論を把握していなければ、問題の本質を探り当てて適切な判断を下せない。

自ら手を動かすこと

「自ら手を動かすこと」「各論を自ら把握すること」の重要さが、その後のリクルート及びリクルートテクノロジーズにおける組織作りにまで大きな影響を与えている。

一般的に大規模なシステム開発では、管理する立場の人間が詳細に踏み込むことは滅多にない。しかし開発しているネットサービスは、利用者が体験するリクルートのインターネットビジネスの実体そのもの。機能や品質の詳細を社員自らが把握せずに社外に丸投げするのはありえない。プロジェクトを管理する立場の者であっても詳細まで把握し、必要があればいつでも自分の手を動かして作業できることこそ、システムの品質を高めるために最も効果的な方法である。