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人口3割減でも成立する産業構造

社会の持続性を保つためには、現在議論が進む「定住自立圏構想」や「生涯活躍のまち」構想(日本版CCRC)のように、高齢者世代と共に若年世代の雇用機会を生み出すコミュニティの再構築が進むだろう。

技術革新がそのような変化の推進力になる。人工知能やロボット技術が数多く導入されており、さらにそれを超える産業革命が生じて、社会に溶け込んでいる。また、サービスの生産と消費が集約する効果もあって生産性の向上と共に、賃金も上昇するという好循環が実現するだろう。

もう1つのフロンティアは海外にある。世界では2060年に100億人超と、現在から約4割も人口が増え続ける反面、欧州やアジアでは、日本と同じように、高齢化が進む。人口増加に応じて、需要規模が拡大するものの、新興国では、水道や道路などの社会インフラ不足が生産拡大のネックになっている。そのため、日本企業にとっては、現地でのインフラ整備や運営管理に成長の機会がある。また、経済成長と共に所得が増えるので、消費需要の量・質ともに高度化する。このように、2060年に向けて、国内外のフロンティアを開拓していくことが日本企業に成長をもたらす。

2060年の社会のデザイン

2060年の日本の姿は、今とは様変わりしている。人口減少が進んだ街では、持続可能な形として、公共交通機関や病院などを中心に、商業地や住宅地が再構成され、コンパクト化が進んでいる。主要都市は、リニアモーターカーや新幹線などでつながり、時間距離は縮小している。街中では、自動運転タクシーやバス等によって移動の足が確保されている。そうした中で、地方では、それぞれの歴史や特性に基づいて、農業や製造業などの生産拠点として競争力を増している。

中でも技術進歩の影響が著しい。特にAIやIoT、ロボットなどによって人手不足を緩和しながら、生産性の向上を伴う賃金上昇が実現している。ヘルスケアや介護などでは、コミュニティの中で、官、民、非営利団体の役割分担が進んでいる。製造業では、IoTが産業クラスターの姿を変え、次世代AMなどが生産者と消費者の壁を取り払い、ともに付加価値を生み出す世界になっている。エネルギー効率の向上や新しいエネルギーの普及とともに、自動車や住宅を中心に、家庭やオフィスでの地産地消が増えている。

これらのビジネスモデルや産業構造は、同じような問題を抱える海外でも活用され、日本企業は海外での収益源を得る。

この結果、人の価値観も変わる。保有からシェアリングが進み、働き方も変わる。技術進歩の恩恵から、労働は短時間化し、その分ワークライフバランスを実現しながら、レジャーやスキルアップなどに費やす時間が増える。こうした変化の中で、2060年の日本は拡大均衡の中にある。