費用面についても細かなチェックを
経費のチェックは細かく行う。その会社ごとに勘定科目だけでなく、支払先ごとベースで、前年比の動向を全て洗い出す。部門は予算を保守的に組むため、費用は多めに出す。しかし、前年に使っていないようなものがあれば全てチェックし、事業展開に差し支えない範囲で、より少ない経費にコミットさせる。
但し、事業部の経費は筋肉質にしつつ、どこかで不足の事態に備えたバッファを用意する。経済環境が急激に悪化するリスクなども睨みながら、楽観的に見るのではなく、何が確度が高くて、何が低いのかを認識しておくことが重要である。
実現可能性の低い計画よりも、保守的で確度の高い計画を出す
経営計画を策定する時に難しいのは、楽観と悲観の「さじ加減」である。市場に開示する計画数値は悲観的で良い。誰にでも実現できる目標を外部、特に上場している場合には市場、投資家に説明するのは簡単かもしれないが、上方修正すればいい。あとは投資家なりアナリストが判断することである。
ゴールから逆算して物事を考える
週次、月次の管理と共に重視するのは、業績の「着地見込み」である。単月の売上や業績、年度累計の数字はわかっていても、それが今度は年度の予算に対して今残りはどうなっているのか、どういう数字で着地しそうかということを見ていくことが大事である。
実現性の高い経営計画の特徴
経営計画の実現性評価とは、貸借対照表や損益計算書を主とした財務目標を達成するために、経営計画に盛り込まれている戦略や戦術に妥当性があるか、達成可能性は十分かを評価することである。実現性の高い経営計画には次の特徴がある。
①理念、ビジョン、戦略に基づいた具体的な計画になっている
全社計画が社員1人1人の具体的な活動計画にまで落とし込まれている
②その目標レベルが明示されている
さらに責任者やスケジュール、期限が明確である
③計画の前提条件としてフレームワークに基づいた分析がなされている
事業リスク分析とその対策案も講じられている
④市場規模や成長率の見方・捉え方に慎重である
積算の前提条件は算定根拠をしっかりと持ち現実を踏まえている
計画策定の際、注意しなければならないのは、経営計画の蓋然性を高めるために、単純に目標値を下げるやり方である。現実的なラインを見せて終わりにするのではなく、いかに策を練って当初目標にまで積み上げさせるかが重要である。
実際の場面では、実現性の低い施策についても、いくつかチャレンジ目標として計画に入れ込むことになる。重要なのは、何が実現性が高く、何が低いのかをきちんと理解した上で計画を策定することである。そして実行局面においては、実現性に応じた優先順位付けや軌道修正を行うことが重要である。