3社の企業をIPOに導いた著者が、実現可能性の高い経営計画の立て方を解説している一冊。株式公開にあたって厳しく審査される業績管理の方法について、実際の経験から得たノウハウが書かれています。
■リアルタイムで業績の把握を
プロジェクトの進捗の把握は「週次」で見る。週ごとに見直せば、業績の着地があまりズレない。さらに国内外の経済情勢など、外部環境の変化に速やかに対応することが可能になる。特に1案件の規模が売上に占める割合が高いような会社、1つの販売先への依存度が高い会社は、週次での把握が効果的である。売上の5%を占めるものが1つでもあれば行うべきである。
何かが計画からズレていたとしたら、何が想定内で何が想定外かをきちんと把握する。想定外が多かったら、速やかに修正を適時開示していく。見通しを立てる時には、楽観シナリオ、悲観シナリオ、中間の中立シナリオの3つを用意する。
週次で業務を把握するためには、各事業部の協力がなければ成り立たない。事業部からスピーディに、正確な情報が上がってくる仕組み、体制づくりが重要である。
■3社のIPOに共通すること
3社のIPOに共通することは、3社の社長共にIPOに懸ける熱い思いがあったこと。事務局側に想定質問や資料の作成を任せっきりにせず、上場申請時も社長面談時も、自らの回答や資料を作成するなど入念な準備をして、IPO当日に臨み、上場後にしっかりと会社を成長させる熱い思いを語っていた。創業者であるトップの思いは重要である。
審査の中身は何も予算策定、予実管理は相当厳しいものがあった。特に予算の根拠は事細かに資料の提出を求められ、しっかりとした策定根拠があるか否かが審査の肝になる。また、上場準備中は、準備期間をできる限り短くするため、スピード感を何よりも重視して進めることが肝要である。
審査はその時々によって重点テーマが変わり、それが厳しく審査される。未払い残業などの労務、内部統制、情報セキュリティ体制、業績の確度など、重点テーマを押さえて臨むことも肝要である。
私利私欲ではなく、社会の発展や社会的課題の解決に貢献する強い思いが、パブリックカンパニーである上場企業には重要である。
著者 佐々木 義孝
1973年生まれ。ショーケース・ティービー取締役管理本部長 大学卒業後、日本輸送機株式会社(現・ニチユ三菱フォークリフト株式会社)入社。2006年にデザインマンション開発の株式会社プロパスト(東証ジャスダック上場)にて最初のIPOを果たす。 2010年にセールスプロモーション雑貨の株式会社トランザクション(東証1部上場)にて2度目のIPO、そして、2015年にWebマーケティング支援の株式会社ショーケース・ティービー(東証マザーズ上場)にて3度目のIPOを実現する。 IPOを実現した3社の業界、規模は全く異なるが、3社とも業績予想の下方修正なく着地しており、経営マネジメントとして特筆すべき実績を残している。
帯 SBIホールディングス代表取締役 北尾 吉孝 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.2 | 1分 | |
第1章 「上場ゴール」とは何か? | p.9 | 6分 | |
第2章 なぜ、「3度にIPO」が成就できたか? | p.20 | 26分 | |
第3章 経営計画はこう作る! | p.71 | 40分 | |
第4章 「上場請負人」と呼ばれるまでの道のり | p.149 | 9分 | |
第5章 「経営参謀」の心構え | p.167 | 18分 | |
おわりに | p.202 | 2分 |
生き方―人間として一番大切なこと [Amazonへ] |
人を動かす 新装版 [Amazonへ] |