現役東大生を対象に行っている経営戦略の講義。経営者が判断を誤る失敗のパターンを解説しながら、経営戦略の基礎を紹介しています。
■経営戦略に絶対的な正解はない
企業を取り巻く環境や自社の持つ力は千差万別なので、経営戦略に絶対的な正解はない。過去に適切だった判断が、今もこれからもふさわしいのかといえば、そうではない場合もある。
大切なことは、外部の環境や内部の状態など、その時々の様々な条件の変化に、会社として分析して対応していくことである。業績不振に陥る会社においては、過去に外部環境の変化により変革を迫られ、その状況における経営者の判断の過ちが致命傷になってしまった例が多い。
時代とともに人間自身の能力が高くなったり低くなったりするものではない。だから会社の判断ミスや暴走というのは何かの能力の特性の変化によって起こるということではなく、環境の変化に順応できるか否かによって起こるものである。
経営戦略とは、自分たちは誰よりも、誰に対して何ができるかということを明確にしておいて、効率よく対価を得られるように実行し続けるということである。
この前提として、企業を経営していく上で、人的・金銭的・物理的な資源は有限であるということがある。限られているがゆえに、資源の投資領域と優先順位をなるべく明確にしなくてはならない。
会社の資源効率を最大化させるために共有しておくべき価値観や最終目標がミッションであり、それを実現させるベースの考え方が経営方針であり、方法論が経営戦略だと言える。
著者 出口 知史
経営コンサルタント 東京大学大学院工学系研究科修了後、経営戦略コンサルティングファームのコーポレイトディレクション、ダイヤモンド社(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』編集部)、産業再生機構、グラクソ・スミスクライン(経営企画部)、メットライフアリコ生命保険(戦略企画部)および複数の投資ファンドに勤務。 2007年より慢性的な営業赤字に陥っていた老舗の健康器具メーカーで常勤取締役を務め、1年で恒常的な黒字体質へと変革させ、その後3年連続で成長させた。同様に2015年より老舗の事務機器メーカーにおいても常勤取締役として早期の利益改善を実現させた。 定期的に東京大学(工学部)、芝浦工業大学等で企業再生、企業の技術戦略と実態、経営者・企業が意思決定を誤るメカニズム、技術者としてのキャリアなどについて講義。その他、日本経済新聞社主催セミナーにおける講演、企業における若手営業マンや管理職候補者向けの研修など、多数実施。
帯 経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山 和彦 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 5分 | |
第1部 なぜ企業は経営・技術戦略の実行や判断を誤るのか | p.18 | 68分 | |
第2部 戦略経営と技術戦略の目的とはそもそも何か | p.122 | 62分 |
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