ビッグデータの活用が進む現代がどのように進んできて、これからどのような方向へ向かっていくのか。ビッグデータの基本的な考え方や歴史と現状について紹介されている一冊。
■ビッグデータの時代
グーグルやフェイスブックに代表される「ビッグデータ時代」が到来しようとしている。この流れは、ビットで構成されるデジタル世界から、分子で構成される物理世界へと急速に広がり、時代の主流になろうとしている。いずれは、データを動力源とするデータ駆動型の人工知能を陰で支え、デジタル世界と物理世界のトップの座へと押し上げるだろう。
ビッグデータの技術は「計測」のあり方に革命を起こしている。この革命は、新たな効率化とイノベーションの波となり、経済全体に波及するだろう。だが、ビッグデータは単なる「技術」ではない。ビッグデータを見つめれば、個々人の未来の意思決定を左右する「哲学」を見出すことができる。
ビッグデータというテクノロジーは、デジタル時代の望遠鏡にも顕微鏡にもなる。これまで決して見えなかったものを、見たり計測したりできるようになるのだ。やがては、人類の意思決定を左右するプラットフォームになっていくだろう。あらゆる種類の意思決定が、経験や直観ではなく、データと解析に基づいて行われるようになるのだ。
ビッグデータによって、より多くのことをより早く学びとることができる。まさに「見えないものの可視化」である。しかし、ビッグデータは限界も抱えている。測定内容と測定方法に大きく左右されるのだ。データはいつでも集められる。パターンは探せば見つかる。だが、そのパターンに意味はあるのか、本当に知りたいものを測定できているのか、意味のあるものを測定するかわりに、測りやすいものを測定していないか。
ビッグデータは、計測による管理に新境地を開こうとしている。しかし、ビッグデータによる意思決定の恩恵を受けるには「測定できるものがすべて重要とは限らず、重要なものがすべて測定できるとも限らない」という言葉が示す謙虚さを忘れないことが大切である。
著者 スティーヴ・ロー
『ニューヨークタイムズ』紙記者 20年以上にわたって、ビジネス、経済、テクノロジーに関する記事を執筆している。海外特派員や編集者として活躍。『ニューヨークタイムズ』誌や『アトランティック』誌などの雑誌にも寄稿している。 2013年には、ピューリッツァー賞の報道部門(解説報道)を受賞した『ニューヨークタイムズ』のメンバーに名を連ねた。『Go To: The Story of the Math Majors』などの著書がある。
日本経済新聞 |
週刊東洋経済 2016年7/2号 [雑誌](健康格差) |
週刊ダイヤモンド 2016年 7/2 号 [雑誌] (確率・統計入門) |
エコノミスト 2016年 7/12 号 [雑誌] 東京大学大学院教授 柳川 範之 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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1章 ビッグデータ時代――「大きさ」よりも重要なこと | p.11 | 10分 | |
2章 やればできる子 | p.24 | 20分 | |
3章 社運を賭けて | p.51 | 24分 | |
4章 観察と洞察 | p.84 | 21分 | |
5章 データサイエンティストの誕生 | p.112 | 19分 | |
6章 データは語る――相関と文脈 | p.138 | 18分 | |
7章 物理的世界に進出するデータ | p.163 | 18分 | |
8章 行動とデータの陰と陽 | p.188 | 19分 | |
9章 先の長いゲーム | p.214 | 18分 | |
10章 ビッグデータとプライバシー | p.238 | 24分 | |
11章 未来――データ資本主義 | p.270 | 9分 |
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