モルガン・スタンレーに所属するキャリアアドバイザーが、1つの企業や職務に勤めるだけのキャリアは通用しないと説き、景気や人間関係に左右されないキャリアの築き方を紹介している一冊。
■将来やりたい仕事の構成要素を考えよ
1つの仕事や職業を作り上げている要素をコンテンツとして考えること。自分で面白いと思うこと、興味をそそられること、刺激になること、やりがいがあると思うことは何か。この手の質問に答えることが、第1のステップだ。自分がどんな経験をして、どんなスキルを獲得したいのか。自分のキャリアのコンテンツを考えておけば、今よりずっと厳しい状況で転職やキャリア変更の必要を感じても、不安はかなり抑えられる。
キャリアの早い段階では、特定の職種よりもコンテンツを重視すべきだ。たとえ新入社員向けの仕事であっても、自分が引き受ける仕事の内容は注意深く検討し、本当にやりたい仕事に就くために必要なスキルと経験を身に付ける機会となるかを確認すること。
成功の足固めをするなら、ふさわしいコンテンツを含んでいるとわかっている仕事のカテゴリーを越え、今まったく知らない仕事について学ぶことにもなる。それにはリサーチが必要だ。時間を割いて人と話し、人脈を作るということだ。成功の可能性を最大限に広げるには、選択肢のことを理解しなければならない。
■同じ職務を続けるだけのキャリアは通用しない
今は1つのキャリアにこだわり、同じ会社で20年、30年も同じ仕事をすることに意味がなくなっている。技術の進歩で産業もビジネスも大規模な再編、再定義、分断を免れず、場合によっては潰されることさえある。現在は、1つの企業が業界の首位の座を10年間守ることさえ難しい。
ごく最近まで別の会社への転職は職務上でマイナスになると考えられていた。それが今日では、これまでと違うアプローチでキャリアプランを立てなければ、成功はおぼつかなくなっている。より現実的なアプローチは、5年を1つの単位として、6〜8単位のキャリアを考えることだ。このキャリアは5〜6社にわたる可能性がある。成功を望み、世界をリードする産業のトップ企業で働きたいと望むなら、こうした転職は当然のことになる。
1つの会社に長く居続ければ、とりわけ同じ職務を続けていれば、いずれは仕事の基盤(報酬、影響力、成功)が脅かされることになるだろう。
■出世コースを事前に調べよ
あらゆる企業には、組織の最上層に通じるキャリアパスがある。仮に仕事の能力に問題がなく、昇進の希望が叶わないとすれば、今のポストから希望するポストへの異動が組織にとって「考えられない」ということだろう。
組織に入って働き始める前に、その組織の環境とそこで働いている人について調べておくことは重要だ。上位の役職の人達がどのように選抜されたのかは、企業のウェブサイトで役員幹部の略歴を見ればいい。また、採用面接は、希望する職種がどの程度出世コースにつながっているかを判断できる絶好のタイミングである。質問の機会をもらった時に確認してみること。
著者 カーラ・ハリス
モルガン・スタンレー 資産管理部門バイスチェアマン シニア顧問アドバイザー 1987年にモルガン・スタンレーに入社。以後30年近く同社に勤務し、企業の株式公開、M&Aに携わると同時に、モルガン・スタンレー財団をはじめ多くのフィランソロピー団体の運営に関わる。 2009年に『Expect to Win』を刊行、キャリアアドバイザーとして全米で講演活動も行っている。2013年、オバマ大統領の指名により米国女性ビジネス協議会(NWBC)の議長に就任。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 今の経済状況で キャリアを選択するということ | p.10 | 19分 | |
第2章 自分のストーリーをいかに語り、売り込むか | p.41 | 23分 | |
第3章 成功への足固め ――身につけるべき「戦略的スキル」 | p.79 | 22分 | |
第4章 キャリアをどう生かすか ――「成果貯金」という考え方 | p.116 | 20分 | |
第5章 昇進に不可欠なもの ――「人間関係貯金」 | p.148 | 16分 | |
第6章 効果的なコミュニケーションとサインの読み取り方 | p.174 | 23分 | |
第7章 職場での自分のプロフィールを知る | p.211 | 15分 | |
第8章 転機は必ずやってくる | p.236 | 18分 | |
第9章 変化を乗り切る力 | p.265 | 13分 | |
第10章 転身する | p.286 | 11分 | |
おわりに――成功を楽しもう | p.304 | 2分 |