あらゆるモノのインターネット
第二の波の特徴は、アプリである。どの製品も事実上、無限に拡張できる。新規ユーザーへの対応は、大抵の場合、サーバーを追加したりエンジニアを増やすのと同じくらい簡単だ。また、アプリは無限に複製することができる。
このような第二の波が今、別の新しいものへと移行し始めている。第三の波とは、インターネット製品がインターネット企業だけのものではなくなった時代である。様々な製品にインターネットに接続したセンサーを加えるIoTというコンセプトが、それだけでは限定的すぎると見なされる時代でもある。私たちはもっと広範なあらゆるモノのインターネットが出現し始めていると気づくことになる。
第三の波に必要なこと
新しい世代の起業家が成功を収めるには、第二の波の時の戦略は役に立たない。第三の波の起業家たちは、第二の波の企業が決してしなかったやり方で、多分野におけるパートナーシップを築く必要がある。また、第二の波の企業の大半が無視することができた政策にうまく対応しなければならないだろう。
彼らに必要な戦略は、むしろ第一の波で役立った戦略だ。インターネットが誕生してからまだ日が浅く、世間からは懐疑的な目を向けられて、巨大な参入障壁が立ちはだかっていた時代、パートナーシップを築かなければ顧客を獲得できず、規制システムに阻まれ、適切な道を見つけ出そうと必死で格闘していた時代の戦略だ。
3つのP
第三の波で起業するとしたら、3つのPが必要である。
①パートナーシップ(Partnership)
第三の波に乗るほとんどの産業には「ゲートキーパー」がいる。新たな時代での企業の成功の大部分は、リーダーが築けるパートナーシップにかかっている。
②政策(Policy)
第三の波の産業では、政府が常に影響力を持つ。つまり、第三の波の起業家たちは、これから遭遇するであろう政策問題に精通していなければならない。そして、政府と関わる必要がある。
③粘り強さ(Perseverance)
パートナーシップが破綻したり、規制当局に拒絶されれば、その企業は路頭に迷う。第三の波の起業家精神には、さらなる粘り強さが求められる。
あらゆる地域の台頭
100年前は、投資家の大半の関心はほとんど収益に向けられていた。今日では、加えて「社会にインパクトを与える」ことも組み込まれつつある。第三の波のイノベーションの多くは、「利益と目的を追求する」ビジネスを立ち上げて社会に多大な影響を与えるインパクト起業家によって実現する。
そして、第三の波に突入すると、シリコンバレーから「その他のあらゆる地域」へと、イノベーションの中心地が分散する。第三の波では、テクノロジー業界に拠点を置くメリットは以前ほど大きくない。