あらゆるモノがインターネットにつながる時代がやってくると、産業界は大きな変革に見舞われる。AOL創業者が、インターネット黎明期のビジネス立ち上げ経験を語りながら、来るべき新たな産業の波にどのように対処すべきかを説く一冊。
■インターネット版トフラーの波
インターネット時代は幕開けから驚異的なスピードで進んできた。その間に、いくつかの進化の段階も経てきている。いわば、インターネット時代版のトフラーの波だ。
インターネットの第一の波はオンラインの世界にインフラと土台を築くことだった。その担い手となったのは人々をインターネットにつなげ、人と人をつなげることを可能にするハードウェアやソフトウェア、ネットワークを作る企業群、シスコ、スプリント、HP、Microsoft、アップル、IBM、AOLだ。
インターネットの第二の波は、インターネットをベースにして、その上からさらに別のものを築くことだった。GoogleからYahooまで様々な検索エンジンが登場し、ウェブ上で手に入る膨大な量の情報をより簡単に調べることができるようになった。AmazonとeBayは、インターネットの百貨店を生み出した。ソーシャルネットワークが成熟したのも、第二の波でのことだった。
インターネットの第三の波はまもなく訪れる。その時インターネットは、私たちがつながるモノから、私たちの周りのあらゆるモノとつながるものに変わる。
このプロセスで、いくつかの産業が根底から変貌するだろう。成功への壁はより高くなり、パートナーシップの構築が今まで以上に重要になる。パートナーシップの構築は、信用を築き、排他的な産業の扉を開き、ゲートキーパーを通過する手段となる。そのパートナーの1つは、政府になる可能性が高い。
また、第三の波のイノベーションの多くは、「利益と目的を追求する」ビジネスを立ち上げて社会に多大な影響を与えるインパクト起業家によって実現する。そして、アメリカと世界のイノベーションの中心地以外の地域が台頭するにつれて、地理的に分散して起こるだろう。
著者 スティーブ ケース
アメリカ・オンライン(AOL) 元CEO、共同創設者 インターネット・プロバイダのパイオニア的存在であるAOLは1990年代に急成長を遂げ、2000年1月にメディア大手のタイム・ワーナーと合併。「AOLタイム・ワーナー」の時価総額は当時3500億ドルを超え 米国史上最大の合併と言われた。ITバブル崩壊を引き金とした経営不振を機に、2003年同社の会長職を辞任。 現在は投資会社レボリューションの会長兼CEOを務める傍ら、妻ジーンと創設したケース財団の会長として若き起業家を支援する活動に尽力している。
帯 パークシャー・ハサウェイ会長兼CEO ウォーレン・バフェット |
帯2 フェイスブックCOO シェリル・サンドバーグ |
帯3 未来学者 アルビン&ハイジ・トフラー |
日経ビジネスアソシエ2016年9月号 |
日本経済新聞 学習院大学名誉教授 奥村 洋彦 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.18 | 5分 | |
第一章 曲がりくねった道 | p.27 | 13分 | |
第二章 AOLの誕生 | p.49 | 11分 | |
第三章 第三の波 | p.68 | 10分 | |
第四章 スタートアップ、スピードアップ | p.84 | 10分 | |
第五章 三つのP | p.100 | 8分 | |
第六章 破壊を許す | p.114 | 6分 | |
第七章 シリコンバレーから「その他のあらゆる地域」へ | p.124 | 12分 | |
第八章 新たな潮流―インパクト投資 | p.144 | 5分 | |
第九章 栄光と挫折 | p.153 | 22分 | |
第十章 見える手 | p.189 | 13分 | |
第十一章 破壊されるアメリカ | p.210 | 11分 | |
第十一章 波に乗れ | p.229 | 10分 |
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