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2016/06/27更新

ドラッカーを読んだら会社が変わった!

  • 佐藤 等
  • 発刊:2016年6月
  • 総ページ数:224P

184分

3P

  • 古典的
  • トレンドの
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  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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最も重要な情報は、顧客ではなく非顧客についてのものである

十勝バスの利用客数は、マイカーの普及や人口の減少で、1969年から毎年数%ずつ減少。2000年代には、ピーク時の2割以下にまで落ち込み、厳しい経営状況が続いていた。約30年続いていた営業収入の減少を補うため、給与や賞与のカットによる人件費の削減を続けたために社員の心は荒れ果てていた。

そのような状況下、2008年、燃料費の高騰で経営危機が深刻化した。これまで一貫して「利用客を増やすために営業を強化しよう。地域住民に『もっとバスに乗って下さい』と呼び掛けよう」と言い続けていた。それに対する彼らの反応は「嫌だ」「無駄だ」「無理だ」の繰り返し。決して首を縦に振らなかった。この危機をきっかけに社員が「やりましょう」と答えてくれた。

最初の停留所の見込み客は、バス停から半径200mほどの範囲に住む約300世帯の住人だった。そのご自宅を1軒1軒回る「戸別訪問」を実施した。バスを利用していないという大半の人は「行きたい方向への路線がない」等と答える。その中である人は「バスがどこに向かっているかを知らない。前と後ろのどちらから乗ればいいかも知らないし、料金もわからない。だからちょっと怖い」と答えた。

要するに、お客様がバスに乗らないのは「不便」だからではなく「不安」だからだった。お客様の不安を解消するために、バスの乗り方を説明するパンフレットを作成して、地元で配った。さらに戸別訪問を重ねると「病院に行くのにバスを使いたい」「スーパーにバスで行きたい」という要望も聞こえてきた。バス路線は、既に主な病因やスーパーは必ず設計されているにもかかわらず、どの停留所の近くにどんな施設があるかが、地元住民にはわかりにくかった。そこで、どの路線を使えば、どんな施設に行けるかを解説する「目的別時刻表」を作成した。

最初の1路線の戸別訪問が終わると、路線の利用者は約2割増えていた。この活動を続ける事で、2011年には約40年ぶりに全体の利用客数が増加に転じた。お客様にとって、バスは「手段」に過ぎない。自分達の都合や常識を脇に置き、お客様にとっての「良き手段」に徹する事が、極めて重要である。

奇抜なアイデアがなくても、大きな投資をしなくても、イノベーションは起こせる。自社に既にある経営資源を丁寧に見直し、配分や組み合わせを工夫するだけで、大きな変化が生まれる。