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2016/06/14更新

マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)

217分

2P

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テロリストになる人に共通する特徴

どういう人がテロリストになるのかについて、共通する特徴が見出された。

①理想主義的で、純粋な傾向を備えている
②社会でうまくやっているように見えても実際には苦痛や困難、不信感を感じている

社会の主流派に属し、何不自由なく大きくなり、エリートの道を歩んでいたにしろ、マイノリティとして、幼い頃から社会の矛盾を味わっていたにしろ、彼らはどこかの時点で挫折や疎外感を味わい、自己の存在価値やアイデンティティを脅かされていた。彼らの純粋さと理想の高さが、面白くない現実と折り合いをつける事を難しくしたと考えられる。社会において自分の価値を認められず、アイデンティティを見出せないものは、社会の一般的な価値観に刃向う事で、自己の価値を保とうとする。こうしたカウンター・アイデンティティは、社会から見捨てられたものにとって、自分の人生を逆転させ、自分の価値を取り戻すような歓喜と救いの源泉ともなる。

テロリストを生み出すプロセス

テロリストになるまでには、共通したプロセスがあった。このプロセスは「トンネル」に喩えられる。そのトンネルを通り過ぎる内に、普通の理性的な人間が、テロリストに生まれ変わってしまう。トンネルは、細く長い管状の通り道で、外界から完全に遮断されている。入口を入れば、後は出口まで光はない。その要素は2つ。

①外部の世界から遮断する
②視野を小さな一点に集中させ、視野狭窄を生じさせる

小集団との排他的な関係がまず用意される。そこでほとんどの時間を共に過ごし、それ以外の生活や外部からの情報の流入を可能な限りシャットアウトする。そうする事で、そこでの生活がすべての基準となっていく。小さな集団を支配しているルールや価値観に、いつのまにか支配されるようになる。

一旦テロを決意しても、人間なので怖気づいたり、死ぬのが怖くなる事もある。そうした後戻りが起きないための仕掛けも施される。その1つが、テロを実行する前から、その人を「英雄」として扱う事である。家族も英雄を生み出した一家として栄誉と経済的優遇を受け、逃げ場をなくす。

同じ仕組みは社会に溢れている

こうした「トンネル」は、危険な目的に利用されるだけでなく、世間的には健全と思われている目的にも頻用されている。スポーツチーム、クラブ、進学塾など、そこではある種の視野狭窄を生み出し、それだけを成し遂げる事に夢中になって突き進ませる。

「トンネル」は、教育や訓練の方法として、効率的で強力なものだが、それは他の多くのものを犠牲にする事にもなる。目的が達成できないと、自暴自棄になる事もある。また、あまりにも長い時間をトンネルの中で過ごす事によって、他の世界とのズレを生じ、それ以外の世界に適応できなくなる場合もある。