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2016/06/14更新

マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)

217分

2P

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テロリストを生み出す方法

なぜ、テロ組織やカルト宗教にはまる人がいるのか。洗脳を受けやすい人の特徴と、洗脳されるまでプロセスを解説している一冊。マインド・コントロールの仕組みが理解できます。


■テロリストにはエリートも多い
テロリスト達は、生きる事が困難で将来にも期待のもてない貧困層の出身者よりも、むしろ裕福で恵まれたエリート階級の出身者に多く、高学歴で、医師やエンジニアなどの専門技能を必要とする職業に就いていた。社会の少数はに属し、疎外感を味わっていたというケースもあるが、実際にひどい迫害や屈辱的な体験を受け、復習を望んでいたケースはむしろ稀であった。

また、一般に思い込まれていたほど、洗脳によって操り人形のような状態になっていた訳でもなかった。彼らの多くはむしろ理性的な人物で、自分がテロ行為を決意するに至った経緯を理路整然と説明し、納得の上でそうした事を決行した事を話した。

自爆テロを行うテロリストの場合、テロ組織のスカウトから勧誘を受けて自爆テロリストになったというよりも、大部分のケースは自ら組織に接近した事が明らかになっている。テロリストの仲間入りをする事は、むしろ特別なものだけに許される名誉なのである。

超短要約

■マインド・コントロール5つの原理
①情報入力を制限する、または過剰にする
外界から隔離し、外部の人と話のできない孤絶した状態に置く事は洗脳の基本である。目的とする一点にだけ関心を集中させ、それ以外の事を考えなくさせ、その一点に向かって進んでいくしかないように仕向けていく。情報や刺激に対する飢餓状態におき、抵抗力を奪った上で、教化や思想修正の時間だけが、魅力的で人間的な刺激となるように与えられる。

②脳を慢性疲労状態におき、考える余力を奪う
過剰な情報を負荷して、処理能力をオーバーした状態を作り出す。同時に脳の処理能力自体を低下させれば、主体的な判断能力を奪う事がいっそう容易になる。洗脳においては、脳を絶えずビジーな状態に置くと共に疲労困憊させる方法が徹底して取られる。まず頻用されるのは、睡眠時間を奪い、その質を劣悪なものにするという事である。睡眠不足と疲労と強い不安が何日も続くと、どんなに強い意志をもった人物も次第に心理的抵抗力を失っていく。

③確信をもって救済や不朽の意味を約束する
欠乏と不安の極限状態に置いて、精神的な抵抗力や批判的に考える力を奪った上で、あなたにも救われる道があると語りかける。我々の仲間になって信念を同じくすれば、素晴らしい意味を持つ人生が始まると、希望を約束する。

④人は愛される事を望み、裏切られる事を恐れる
群れで生活するのが基本である人間は、一旦仲間だと認めたものに対して、忠誠を尽くすという本性を持っている。マインド・コントロールしようとする者は、仲間である事を強調したり、親しみを演出しようとする。愛情や共感のポーズを積極的に示そうとする。

⑤自己判断を許さず、依存状態に置き続ける
自分で考えたり決定したりする事を極力排除し、支配する者だけが意思決定を行い、本人はただそれに従う。支配的なカルトの場合、メンバーの上には、メンターとなる先輩信者がいて、些細な事もすべて相談する事が求められる。人生の意思決定のすべてが、自分以外の存在の手に委ねられる事になる。

著者 岡田 尊司

1960年生まれ。精神科医、作家 京都大学大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事。京都医療少年院勤務、山形大学客員教授を経て、現在岡田クリニック主宰、大阪心理教育センター顧問。

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帯
作家 佐藤 優

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 2分
第一章 なぜ彼らはテロリストになったのか p.12 15分
第二章 マインド・コントロールは、なぜ可能なのか p.36 17分
第三章 なぜ、あなたは騙されやすいのか p.64 20分
第四章 無意識を操作する技術 p.97 37分
第五章 マインド・コントロールと行動心理学 p.159 33分
第六章 マインド・コントロールの原理と応用 p.214 19分
第七章 マインド・コントロールを解く技術 p.245 23分
おわりに p.283 2分

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