クラフトビールの先駆けともなった「よなよなエール」の物語。赤字続きだった会社が、どのようにして増収増益の成長企業へと変貌したのか。そのマーケティングやマネジメントについて紹介されている一冊。
■理念を大切にする
『よなよなエール』を代表商品とするヤッホーブルーイングは、元々は今で言うクラフトビールのメーカーを目指していた。開業の理由も、星野リゾートの代表・星野佳路が、アメリカ留学時にマイクロブルワリーのビールを飲んでおいしさに魅了され、「日本にもこんな個性溢れる味わい深いビールを紹介したい」と考えたのがきっかけ。醸造所こそ軽井沢だが、観光客向けだけに販売するつもりではなく、日本に新しいビールを根付かせたい、という意気込みだった。
■ファンは100人に1人でいい
星野は現状をフォローしようという気はさらさらなかった。新たに市場に加わった人間が、既にできあがっている「市場のルール」に縛られ、今のルールの中で戦っても勝てるはずがない。有名メーカーのビールの隣に、多少値段が高いけど、ネーミングも缶のデザインも、こだわりを感じさせるビールがあったとする。「どんな味がするのかな」と冒険したくなり、6本買うついでに、1本くらい買いたくならないか。しかも飲むと明らかに味と香りが違う。すると何人かに1人は、こだわりのビールをわざわざ探して「これだ」と言ってくれる。
新規参入者は、いわゆる「世の中的に正解」とされる事をやってはいけない。時にはあえて常識の逆を行く事も必要である。ネーミングから味からデザインまで、あらゆる場面で新規性が高くないと相手にしてもらえない。100人に1人でも、大ファンになってくれるのであれば、そこには参入する価値がある。
著者 井手 直行
1967年生まれ。ヤッホーブルーイング代表取締役社長 よなよなエール愛の伝道師。大手電気機器メーカー、広告代理店などを経て、1997年ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。地ビールブームの衰退で赤字が続くなか、ネット通販業務を推進して2004年に業績をV字回復させる。 現在まで11期連続増収増益。全国200社以上あるクラフトビールメーカーのなかでシェアトップ。2008年社長就任。ニックネームは「てんちょ」。
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週刊ダイヤモンド 2016年 7/9 号 [雑誌] (落語にハマる!) 天狼院書店店主 三浦 崇典 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 3分 | |
プロローグ | p.13 | 4分 | |
第1章 おもしろそうな仕事は裏切らない | p.21 | 8分 | |
第2章 ファンは100人に1人でもいい | p.37 | 8分 | |
第3章 弁当代が出ないなら東京に行きません | p.53 | 7分 | |
第4章 どん底だから、この仕事に人生を賭ける | p.67 | 7分 | |
第5章 運命を変えた七年前の手紙 | p.81 | 19分 | |
第6章 スキルは挑戦しながら身につければいい | p.119 | 16分 | |
第7章 リーダーの不満は自分を映した鏡 | p.151 | 10分 | |
第8章 早ければ早いほど、最高のチームができる | p.171 | 19分 | |
第9章 僕らの働き方を変えたら、ファンも販売店もチームになった | p.209 | 32分 | |
エピローグ | p.249 | 8分 | |
付 録 今夜から使える エールビールの楽しみ方 | p.271 | 8分 |
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