三国志に登場する人物の生き方を分析し、何が成功と失敗をもたらしたのかを解き明かす一冊。乱世において大切なことは何か、現代を生きる上でも有効な人生の戦略について書かれています。
■離れる力こそが飛躍するための原動力
後漢から三国時代の始まりは、古い秩序や支配体制が崩壊する時だった。支配者の権力争いに巻き込まれないため、曹操は首都から離れた。曹操や袁紹の乱世のキャリアは、逃げる事から始まった。
危機から巧みに離れる事は、英雄の英雄たる所以でもある。危険から離れない者は、キャリアの崩壊や死という敗北を迎える。ただ離れる事で信用を失えば、それが新たなリスクあり、信義を失わない事が大切である。
曹操の最大の特徴は、伝統や古い常識から自由だった事である。彼はカビが生え始めた漢王朝の伝統的思考から離れる事ができた人だった。さらに自分だけが新しい世界観を持つのではなく、自軍団の意識も変えていった。そのために、仕組みや制度をいち早く、最大限活用した。
・ただ才能だけを見て出世させる人事制度
・孫子の兵法に注釈をつけたマニュアルを武将に配布した
・食糧を増産して兵士と民衆を安定させた
曹操、劉備、孫権。彼らには皆、一つの共通点がある。彼らは凡人が尻込みするのとは逆に、機会に果敢に飛び乗って進んだ事である。彼らに優柔不断と決断力のなさがあれば、無名の人物として生涯を終えていたであろう。彼らは機会を逃さずに立ち上がり、果敢に行動したからこそ上昇気流に乗った。
時節や機会は一瞬である。まばたきほどの時間しかない事もある。それを手にする勇気こそ、すべての英雄に最も共通する貴重な資質である。
著者 鈴木 博毅
1972年生まれ。戦略マーケティング・コンサルタント MPS Consulting代表 大学卒業後、貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、負ける組織と勝てる組織の違いを追求しながら、失敗の構造から新たなイノベーションへのヒントを探ることをライフワークとしている。 顧問先にはオリコン顧客満足度ランキングで1位を獲得した企業や、特定業界での国内シェアNo.1企業など多数。
帯 日産自動車 取締役副会長 志賀 俊之 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
PRESIDENT (プレジデント) 2016年7/18号 東京工芸大学教授 大島 武 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 5分 | |
第1章 乱世とは過去の権威が、崩れていく時代 | p.25 | 18分 | |
第2章 三国志、一瞬の輝きで消えた人の「失敗の本質」 | p.63 | 19分 | |
第3章 なぜ、劉備はわらじ売りから皇帝になれたのか | p.103 | 21分 | |
第4章 呉の孫権、家業を繁栄させた3代目の若頭 | p.147 | 17分 | |
第5章 曹操を選ばなかった諸葛孔明の狙いとは | p.183 | 24分 | |
第6章 すべての諸葛一族を滅ぼした司馬氏 | p.233 | 20分 | |
あとがき | p.276 | 2分 |
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