成城石井の創業者が、その歴史と商品戦略を語った一冊。いかに成城石井は高級スーパーとしての地位を確立して成功したのか。成城石井のこだわりが紹介されています。
■価格競争に巻き込まれないためにはコンセプトが必要
スーパーマーケットをつくる際に、まず構築しなければならないものの1つに、コンセプトがある。スーパーマーケットは、様々な商品を1ヶ所で購入できる便利さをお客様に買ってもらっている。従って、お客様が求めるレベルをすべてクリアするよう、あらゆる商品の質を同じに揃える必要がある。商品の質がばらばらになっていると、「この店の果物は良いけれど、お肉はあの店に行かなければならない」という事になって、「使えない」店と判断されてしまう。そうなると便利さを享受できず、お客様の足は遠のく。
競合店との価格競争に巻き込まれて衰退していく店は、多くの場合、明確なコンセプトをしっかりと構築していないという問題を抱えている。同じような商品が特徴のないA店とB店で売っているならば、お客様は迷いなく安い方を選ぶ。
成城石井は「高い品質のものをリーズナブルな価格で」というモットーを大事にしていたが、これが成城石井の大きな強みとなった。店が繁盛するためにクリアしなければならない関門の第一は集客である。たくさんあるお店の中から選ばれなければならない。
成城石井の場合は、その理由がまさに売っている商品そのものだった。最初からそういう戦略を立てて狙っていた訳ではなく、良いものをリーズナブルな価格でお届けしたいというコンセプトを追求した結果である。お客様が1つでも商品を気に入って頂ければ、他の店では買えないため、成城石井に来るしかない。商品自体が、成城石井にお客様を呼んでくれる。
成城石井のコンセプトは、そもそも同じ駅前にできたOdakyu OXと差別化し、共存するために生まれたものである。Odakyu OXに置いていない商品を扱うという事は、普通の店には売っていない商品を置くということ。成城石井でしか買えない商品が多くなるのは、必然だった。
著者 石井 良明
成城石井 創業者 元代表取締役 成城石井を創業後、高品質スーパーマーケットチェーンとして多店舗展開させた。日本で初めての「駅ナカスーパー」としてJR恵比寿駅やJR大宮駅などに出店。 現在はメンター三田会奨学金代表として震災児への奨学金の寄付に努める。
帯 慶應義塾常任理事・総合政策学部教授 国領 二郎 |
日経トップリーダー |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.5 | 2分 | |
第1章 成城石井の歴史 | p.9 | 30分 | |
第2章 成城石井のコンセプト | p.65 | 13分 | |
第3章 成城石井の商品戦略 | p.89 | 23分 | |
第4章 成城石井の経営戦略 | p.131 | 17分 | |
第5章 成城石井の人事戦略 | p.163 | 10分 | |
第6章 スーパーマーケットの将来 | p.181 | 13分 | |
おわりに | p.205 | 2分 |