レナード・バーンスタインの愛弟子の指揮者が、リーダーシップについて指揮者を事例に挙げながら解説している一冊。リーダーにとって必要な要素とは何かを紹介しています。
■ゼロを通して見れば無限が見える
指揮者は例外なく、全く音を出さず、高価なキャリーケースも必要としない演奏用の道具を携えている。指揮棒だ。この無音の棒切れが手にする者によってとてつもない威力を帯びる事もある。「ゼロを見れば何も見えない。ゼロを通して見れば無限が見える」。指揮棒もまさにゼロと同じで、どれだけ優雅に振ろうとそれだけではオーケストラにとって何の意味も持たない。指揮棒を通して、演奏者たちに楽曲に込められた芸術的かつ人間的偉業をそっくり見せる事ができて初めて、指揮者の本分を全うできたと言える。これはすべてのリーダーの本分であり、コンサートホールに限らず、ビジネスをはじめとするあらゆる重要な事業の指揮を執る者にとって極めて大切だ。
リーダーとして無知を選ぶというのは、部下の学びのプロセスを重視し、彼らの自律的発見を支援する事だ。メインリスナーとなる能力によって意見交換の場を生み出すとともに、ギャップを歓迎し、新たなギャップを見つけたり創造したりして、そこから生まれるエネルギーをさらなる探求や意見交換につなげるのだ。
著者 イタイ・タルガム
指揮者 巨匠レナード・バーンスタインの愛弟子であり、パリ管弦楽団、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ケヴァントハウス管弦楽団など世界の著名オーケストラと共演している。 またフォーチュン500企業や世界中の非営利団体、大学、会議などでリーダーシップを指導しており、TED、グーグルのツァイトガイスト、スイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラムにも登壇している。
帯 オリックス会長 宮内 義彦 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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PART 1 ビジネスという楽曲 | p.4 | 10分 | |
PART 2 リーダーシップの三つの新たな主題 | p.22 | 1分 | |
第1章 すばらしき無知 | p.24 | 13分 | |
第2章 ギャップを恐れるな | p.47 | 11分 | |
第3章 メインリスナー | p.67 | 8分 | |
PART 3 リーダーシップを主題とする六つの変奏曲 | p.82 | 6分 | |
第4章 指揮統制 リッカルド・ムーティ | p.93 | 13分 | |
第5章 ゴッドファーザー アルトゥーロ・トスカニーニ | p.116 | 10分 | |
第6章 ルールどおりに リヒャルト・シュトラウス | p.133 | 11分 | |
第7章 カリスマ的リーダー ヘルベルト・フォン・カラヤン | p.153 | 12分 | |
第8章 踊るリーダーシップ カルロス・クライバー | p.175 | 13分 | |
第9章 意味の探求 レナード・バーンスタイン | p.198 | 20分 | |
おわりに | p.234 | 4分 |