広報の仕事で大切なこととは何か。設立2年目のサイバーエージェントに入社し、社員30人から3000人へと会社が成長していく過程で、広報部門の立ち上げから、自社のサービス認知拡大を行ってきた著者が、広報の仕事とは何かを解説している一冊。
■広報の目的とは
広報の仕事の目的は、会社や商品のファンを増やすこと。社会に存在する生活者達に、いかに会社のファンになってもらうか。そして、そのファンをどれだけ増やせるかということである。
・数ある競合商品の中から、自社の商品を選んでもらう
・数ある会社の中から「この会社に入社したい」と就職活動中の学生に思ってもらう
・数ある株式銘柄の中から、自社の株式を保有してもらい、会社を応援してもらう
・会社で働く社員やその家族に、誇りに思ってもらえるような会社にする
広報と広告には大きな違いがある。広告はお金をかけてテレビCMやWeb、新聞などの広告枠に、企業が伝えたい事を伝える広報手段の1つである。一方、広報はコミュニケーションによって、企業の事について第三者を介して伝え、評判を形成するものである。
■成長をかけ算にする
広報の活動は、単に会社のイメージ向上を図るだけではない。自社の商品やサービスの認知度を高め、商品やサービス自体のファンを増やす活動が重要になってくる。
広報はいわゆる広告や販促とは異なり、コストをかけてサービスの利用を促したり、会員登録してもらうのではなく、メディアとのコミュニケーションから記事露出を図ったり、ソーシャルメディアでの発信などによって、サービスに興味を持ってもらい、サービスの利用につなげる事が目的となる。
広報によって事業が「1+1」ではなく「1×∞」になる可能性がある。会社のブランディングを図る企業広報では、メディアに露出する事でコーポレートサイトへのアクセス数が急増したり、Twitterなどで会社について語られる事が急増する事はよくある。サービス広報であれば、これが商品の購入やサービスの利用など事業に直結してくる。つまり、広報は事業を「かけ算」で伸ばし、会社をスピーディーに成長させる事ができ得る仕事である。
かけ算の値を最大化できるようにするためには、何よりも関係する各部署との連携が欠かせない。社内の各部署と連携して適切なタイミングで広報活動を行う事で、広報の効果を最大化できる。
■どうすれば会社の記事がメディアに取り上げられるのか?
まずはメディアの視点に立って考えてみる。メディアが取り上げた内容について、何が見られたり読まれたりしたのか、その結果は如実に数字として現れているはずである。メディアの先には読者や視聴者となる生活者がいる。だから、その生活者のニーズを踏まえて、取り上げる情報の選定をしているのは当然の事である。
メディアの先にいる生活者が興味を持つ事とは何か。それはメディアのターゲット属性によるものが大きい。ところが、メディアに取り上げてもらうには読者・視聴者にマッチすればOKかと言えば、すべてがそうだとは限らない。時節的なイベントや、今世の中で話題になっていること、気になっているもの、これから流行りそうなもの、もしくは皆がこう思っていたけど実はこうなっている、といったサプライズ的な内容といったように、実は「時流に合っていること」が重要なポイントになってくる。
自分の会社の中に、ある事象や事業、または商品やサービスがあったとしても、それらをただ単にそのまま広報しようとしても、メディアに取り上げられる確率は極めて低い。「時流」を取り入れる事で、取り上げられる確度が上がる。
著者 上村 嗣美
1978年生まれ。株式会社サイバーエージェント 広報責任者 大学在学時、就職活動中に当時社員数30名、設立2年目だった株式会社サイバーエージェントと出会い、会社のビジョンに共感し入社。大学生の時から内定者としてサイバーエージェントでアルバイトを始め、ネットバブル、東証マザーズ上場を経験。 上場の過程を目の当たりにしたことから広報を志す。入社後は社長秘書を経て、広報へ。広報部門の立ち上げに携わり、企業広報のほか、「Ameba」など自社サービスの認知拡大に努める。2008年より広報責任者。 以来、一貫して広報としてキャリアを築き、会社の事業拡大、社員数の増加といった会社の成長とともに、常に新たな広報活動に取り組む。 2014年に出産、1年の産休・育休を経て2015年に仕事復帰。育児と仕事を両立中。 現在は、メディアリレーションズなどの広報活動のほか、広報担当者の育成、広報組織力の向上に注力。
帯 サイバーエージェント代表取締役 藤田 晋 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 決して「キラキラ」ではない広報の仕事 | p.11 | 17分 | |
第2章 社員数30人から3000人へ成長する広報の現場 | p.43 | 22分 | |
第3章 広報は社長にモノ言う仕事 | p.83 | 17分 | |
第4章 「時流」と「社流」をつなぐ広報の仕事術 | p.115 | 32分 | |
第5章 広報女性が社会を変える! | p.175 | 19分 | |
おわりに | p.211 | 2分 |
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