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2016/03/02更新

売らずに売る技術 高級ブランドに学ぶ安売りせずに売る秘密

195分

2P

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正直でいることが評判を高める最善策

より「本質なもの」を評価する現代の消費者と向き合うためには、新しい消費者の価値観に寄り添ったまま、自分達のブランド・アイデンティティを保ち、しかも自ら語りかけていく。そのための方法は、結局のところ「正直」である事に尽きる。「誰が言うか」よりも「何を言うか」が問われるソーシャルメディアでは「評判」が最大の価値になる。その「評判」を支えるのは「嘘をつかない」コミュニケーションの積み重ねに他ならない。

差別化には物語が必要

モノが溢れ、商品のコモディティ化が進んでいる現代では、機能をアピールするだけではライバルとの差別化は難しい。しかしブランドの揺るぎない「物語」は、他社がコピーする事は不可能である。ラグジュアリーブランドは、この「ブランドのDNAである物語を指針としながら、そこからブレないように変化を遂げてきた」ブランドの最たる例である。

ソーシャルメディアの普及に最も劇的なやり方で対応し、新しい価値を生み出したラグジュアリーブランドに「バーバリー」がある。バーバリーは2011年、ブランドの象徴とも言えるトレンチコートのカスタムメードオーダーをオンラインで開始。さらにファッションショーのネット中継と同時にモデル達が着ていた新商品のオンライン予約販売を開始した。eコマースは高級品の購入に見合うような「特別感」の演出が難しいとされてきた。そこで考えられたのが上述のサービスであった。

現在のバーバリーは海外のメディアから、アップルやグーグルといったIT企業と比較されるほど、先進的なブランドと見なされている。バーバリーの市場価値は2006年から2013年までに33億500万ドルから111億8000万ドルと3倍に増加した。バーバリーのデジタル戦略は、ラグジュアリーブランドであるにもかかわらず、ブランドの世界観を一方的に押し付ける「選ばれた人向け」ではなく、ユーザーの価値観に寄り添った「民主的」なものである点で一貫している。

体験価値の創造

顧客の記憶に残る感動を与え、それを唯一の経験だと感じてもらわなければ、どんな優れた商品やサービスもコモディティ化してしまう。企業がPRを行っていくために必要となるのは、ブランドの世界観を好きになってくれそうな人達に向け、彼らのコミュニティと親和性の高いやり方で体験を提供する事である。

バーバリーは、ショッピングの付加価値として体験を提供するのではなく、楽しい体験をした結果、その先にバーバリーというブランドの世界観を感じられるようにしていこうと、発想を逆転させた。