常に400以上ものプロジェクトを動かしているデザイナーの著者が、仕事を早く進めるための考え方を紹介している一冊。
■スピードが仕事の質を高める
デザインやブランディングの仕事とスピードは、最も関係がないように思われるかもしれないが、そんな事はない。実際にスピードを重視すると仕事の質が高まる。しかも予定よりも早く仕事を仕上げると関係者にも喜んでもらえるため、依頼がどんどん増える。すると手がける仕事の幅が広がっていくので、ますます経験値が上がっていく。そして、さらにスピードもアップし、自分も成長していく。
■「速さ」より重要なのは「同時処理能力」
仕事の速度を上げるのは「いかに並行して仕事を進められるか」にかかっている。たとえ手を動かす速度が速くなくても、同じ時間で5倍、10倍の量の仕事を処理できていれば、結果的に仕事を超高速でこなしている事になる。
「スピード」とは純粋な処理速度ではなく「同時に処理する能力」に近い。いろいろな事を並行して考えたり進めたりできるような工夫や環境づくりこそ重要である。
■情報収集にこそ時間をかける
プロジェクト全体を俯瞰してみると、最初にしっかり必要な情報を集める事こそがスピードアップの秘訣である。情報をたくさんインプットした方がアイデアのアウトプットにかかる時間は短縮され、初期段階で方向性を明確にしておく事ができれば、プロジェクトの「軸」が決まり、その後の過程において「ブレるリスク」は最小限にとどめられる。徹底した情報収集の結果、プレゼンをそのまま形にする事ができ、結果的に時間短縮につながる。
■「時間感覚」の把握がプロジェクトのスピードを上げる
プロジェクトを進める場合、まず全体を見渡して必要な作業を確認し、それにかかる時間を読む力をつけること、そしてその精度を高めていく事が、仕事のスピードアップにつながる。「時間感覚の把握」はより正しくできるようになるには、物事を何でも「時間」というフィルターを通して見てみるとよい。「このアイデアを考えるのにどれくらいの時間が必要だったのか」「実現するまでにかかった時間は?」といった事に注意を向けてみる。そうやって時間感覚を磨く事が、自分がそれと似たプロジェクトに関わる場面で、より精度の高い戦略を立てる事につながっていく。
■時間をかける事が質につながるのかどうか意識する
アイデアを考える事に関していえば、時間をかける事には全く意味がない。アイデアの発想は、算数の問題を解くようなもの。1週間かけて解いても5分で解いても答えが同じなら、5分で解いた方がいいに決まっている。かけた時間によって、答えの質が変わる訳ではない。常に「この仕事は時間をかける事によって質が高まるものかどうか」という事を意識する視点を持っておく事が重要である。
著者 佐藤オオキ
1977年生まれ。デザインオフィスnendo代表 デザイナー。2002年、デザインオフィスnendo設立。Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」(2006年)、「世界が注目する日本の中小企業100社」(2007年)に選ばれる。 主な受賞にWallpaper誌(英)、および、Elle Deco International Design Award「デザイナーオブザイヤー」(2012年)があり、代表的な作品は、ニューヨーク近代美術館(米)、ビクトリア&アルバート博物館(英)、ポンピドゥー・センター(仏)など世界の主要な美術館に収蔵されている。 2012年から早稲田大学非常勤講師。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.9 | 2分 | |
PART1 “超"高速で仕事をこなすための基本動作 | p.19 | 34分 | |
PART2 400のプロジェクトを“超"高速に進める手法 | p.85 | 53分 | |
PART3 ビジネスを加速する投資&チームづくり | p.189 | 16分 | |
おわりに | p.221 | 1分 |