自我を抜きに判断すること
人間社会のトラブルの原因のほとんどは、自我のぶつかり合いによるものである。我々が楽しいと思うのは、自分の自我を認めてくれる人と一緒にいる時である。社会で友達を作ろうとするのは、自分の自我を受け入れてくれる人を探していくのである。自分の自我を認めてくれる会社はないか、自分の自我を認めてくれる結婚相手はいないかと思って、常に探すのである。
けれども、自我というのは結局のところ「自分がいちばん大事」という感覚だから、そういう感情を強く持っている限り、本当に他者と互いに認め合う事はできない。つまりは、みんな手に入らないものを求めている。
そうはいっても、悩まずにはいられないのが人間である。では、どういう生き方をし、選択をすれば、その苦しみから脱することができるのか。物事の判断と選択を、自我というもの、感情というものを抜きにしてやればいいのである。
理性を身につけること
感情というのは、自分の都合のいいように心を誘導する。感情はなくすことはできない。しかし、感情に流されないようにすることはできる。衝動や執着の抑制を学習することで、感情の起伏に囚われない冷静な行動ができるようになっていく。それが「理性を身につける」ということである。何かを判断し、選択するという行為は、常に「理性」で行われなければならない。
理性がどんどん大きくなっていくと、感情は抑えられる。消える訳ではないが、何かを判断したり行動したりする時に、感情的なものが選択の条件にはならなくなっていく。
理性は、学ばなければいけないもの、育てるものである。学べば学ぶほど、いろいろな物事を知れば知るほど、理性のレベルは上がっていく。理性の能力が上がると、感情でする判断が減り、間違いが少なくなる。
理性を磨くために必要なこと
①自我に気づき、客観的な視点を持つこと
「自我というものは錯覚である」と気づくことはできる。錯覚だから、それを根拠に判断したり選択することは愚かなことだと気づくことで、考え方を変えていける。
②自分の意思を明確に持つこと
1人の人間として「こういうことを自分はやっていきたいんだ」というはっきりした意志がなければ、何かを実現していこうとする強いエネルギーが出ない。自発的な「意欲」「やる気」がなければ行動を変えていけない。
③正確な知識や情報、データを得ること
正しい選択のためには、客観的で正確な知識や情報を知っておかなくてはならない。
さらにもう1つ必要なことは、我々は常に成長していなくてはいけないということである。それが進化し続けるということ、即ち生き残っていくということである。変化を止めてしまったら、それは衰退に向う道なのである。