人はなぜ選択に迷い、後悔するのか。人生における選択を最良のものとするための知恵を、スリランカ仏教の長老が綴った一冊。
■人生の選択を後悔しないための2つのこと
人生の様々な選択に後悔しないようにするためには、2つのことをすればいいだけである。
①理性で正しい選択をすること
②過ぎたことにクヨクヨしないこと
選択には、正しい判断力とそれを速やかに実践する行動力が要る。その正しい判断力を邪魔する存在が「自我」である。自分の感情というものにこだわらなくなればもっとラクになるが、人間には感情が付き物である。世間一般には自我のない人はまずいない。自分がかわいい。自分が大事。みんな自我があるがゆえに、悩みや苦しみを深くしている。
「選択」とは将来のためのものだと勘違いしている人が案外いる。「将来、こうありたい」「こんなふうになりたい」と考えて、そのためにどういう選択をしたらいいかと頭を悩ませている。みんな、人生に成功したい、失敗のない選択をしたいのである。
しかし、将来というのは自分では管理しようがない事である。先の事は誰にも読めない。今現在の自分と、管理できない将来の事を一緒にして考えて、なんとかしたいと無理するから、いろいろ不安になったり、ストレスを溜めたりする。私達が管理できるのは「いま」の事だけ、今目の前にある事だけである。今の判断と行動によって、その結果が後からついてくる。
だから、将来を良くしたい、明るいものにしたいと思うなら、「今、ここで成功する」事である。意志を持つ事は大事だが、将来をあれこれあまり夢想しない。「今の成功」をコツコツと積み上げていく事が、「こうなりたい」という意志を現実のものにしていく唯一の方法である。
今この一瞬に集中し、自分のベストを尽くす。この瞬間がうまくいけば、次の瞬間の結果はよくなる。瞬間、瞬間の判断と行動に成功すればいいのである。
今の事であれば、自分の力でどうとでも変えられる。だから、人生に成功するには、この1秒で成功し、次の1秒でも成功し、1秒ごとに成功を続けていく事が大事なのである。
1945年生まれ。スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老 スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとったのち、1980年に国費留学生として来日。 駒澤大学大学院博士課程で道元の思想を研究。現在、宗教法人日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事し、ブッダの根本の教えを説きつづけている。 朝日カルチャーセンター(東京)の講師を務めるほか、NHKテレビ「こころの時代」などにも出演。
帯 東京大学名誉教授 養老 孟司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 2分 | |
第1章 人生は選択の連続である ―「悩みの種」はどこから来るのか? | p.13 | 7分 | |
第2章 正しい判断は「理性」から生まれる ―なぜ感情で判断してはダメなのか? | p.29 | 8分 | |
第3章 自我に気づくための思考レッスン ―人のふり見てわが自我を知れ? | p.47 | 11分 | |
第4章 正しい意欲と正しい知識を持つ ―「もっと……したい」は欲なのか? | p.71 | 11分 | |
第5章 捨てた選択に悩まない ―「こんなはずじゃなかった」はなぜ起きる? | p.95 | 9分 | |
第6章 「愛している」は錯覚だ ―愛が幸せを遠ざけていた? | p.115 | 11分 | |
第7章 優柔不断から脱する方法 ―なぜ「決められない」のか? どうすれば変われるのか? | p.139 | 13分 | |
第8章 みんな社会のひとつのピース ―後悔のない最良の選択をするには? | p.167 | 11分 |