認識を左右する憶測
人を判断する時には、たとえ初対面でも、その人を全くゼロから考え始める事はない。人は誰でもいくつかの思い込みを無意識に働かせている。
①確証バイアスと初頭効果
自分がそこに見出すだろうと予想しているものだけを見る。そして、最初にその人を観察して得た情報が、その後の情報を解釈したり記憶したりする時に影響を及ぼす。
②ステレオタイプ
ほとんどの状況において、人はあなたが属するグループのステレオタイプによって、あなたの行動や言葉を解釈する。
③ハロー効果
抜きん出た良い特質を1つ持った人を見ると、他にも良い特質を持っているに違いないと思い込む傾向がある。
④偽の合意効果
他の人も自分と同じように感じているはずだと思い込む。
大事なのは自分の今置かれている立場をしっかりと知る事である。中でも相手の思い込みは常に働いているので、それをきちんと理解する事が必要である。
他者を判断する二段階のプロセス
他者を認識する時には2段階のプロセスがある。
・フェーズ1
人はあなたの行動を目にした時、状況全体に注目するのではなく、パーソナリティ、能力、道徳性、特性など、あなたに関する何かと結び付けて考える。そして、自動的に簡単な推測を行う。
・フェーズ2
人は状況やその他の要素を考慮に入れ、あなたに関する最初の印象をそれに応じて修正する。従って一般的に「フェーズ2」の認識は「フェーズ1」よりもかなり正確なものになる。
相手に対する判断を修正するためには注意力とモチベーションが必要になるので、それらがない場合は「フェーズ1」で出した結論を持ち続ける事になる。ここ数十年の研究の結果、人間というものは「フェーズ2」にいく事は難しく、従って常に他者を個人として正確に理解する事はできないものだという事が明らかになっている。
相手と良いコミュニケーションを持ちたい時、あるいは良い印象を相手に与えたいと思う時には、「フェーズ1」の段階で適切なシグナルを発する努力が大事である。初めに正しい印象を与える方が、後で修正するよりもはるかに簡単で望ましいからである。
最初に与えた印象を変えるための方法
与えてしまったネガティブな印象を変えるのに、遅すぎるという事はない。相手に「フェーズ2」までいってもらうには、忍耐と努力と計画が必要である。
①圧倒的な量の証拠を示す
どんな認知的ケチでも無視できないほどに実証を積み上げる。
②相手が意見を修正したくなるようにしむける
人は一般的に、自分は公正で偏りがない人間だと考えたがる。そう考えた時、バイアスやステレオタイプも自然に自動的に大きく抑制される。相手に平等主義的目標を作動させるには、相手の「公正さ」「読みの鋭さ」などを褒める。