相手は自分が思っている通りには見てくれない。人がお互いを正しく認識することの難しさを心理学の視点から解説。どのようにすれば、自分を正しく理解してもらえるかについて紹介している一冊。
■人は認識のエネルギーをケチる
人には必要だと思える事だけを考えて、それ以上は考えない傾向がある。人は用事を済ませるのに、できるだけ簡単で効率的な思考プロセスで済ませようとする。人があなたを意図した通りに理解してくれないのは、あなたが元々わかりにくい人だからだけではなく、相手が注意力をケチるからである。
認知の努力をケチる私達のお気に入りの手抜きツールは、ヒューリスティックと憶測である。ヒューリスティックというのは、例えば「すぐに思い浮かぶ事はより多く起こるように感じる」といった思考のパターンである。これは多くの場合は正しい結論を導くが、見当違いの方向に人を連れていく事もある。
憶測は、あなたを認識する人があなたのどこを見るか、その情報をどう解釈するか、その結果をどう記憶に残すかなどのプロセスに働きかけて、認識の重要な部分を形づくる。
■人があなたを理解する事は驚くほど難しい
誰もがみな、無意識の内に2つの間違った思い込みによって行動している。
①他の人が自分を客観的に見てくれているという思い込み
②自分が自分自身を見るのと同じように、他の人も自分を見てくれているという思い込み
どちらの思い込みも間違っていて、その理由は2つ。
①人間は、自分で思うよりもずっと「読みにくい」存在である
自分がどれだけはっきり感じていても、あなたの感情は外からよく見えないし、顔の表情などはそれほど表現力がない。
②人の言葉や行動は、常に相手の解釈を経て意味を与えられる
言葉も行動もそれに意味を与えるためには「解釈」が必要になるので、人はあなたの事実に基づいて客観的には見てくれない。
コロンビア大学ビジネススクール モチベーションサイエンスセンター 副所長 アメリカ心理学会他で幅広く活動する、モチベーションと目標達成の分野の第一人者。目標達成能力、自己管理能力、幸福感を高めるための最適なアプローチを研究している。 「ハーバード・ビジネス・レビュー」「フォーブス」などに論説を寄稿。
帯 作家 河野 英太郎 |
帯2 作家 ダニエル・ピンク |
帯3 スタンフォード大学エンジニアリング・スクール教授 ロバート・サットン |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.7 | 6分 | |
第一章 人があなたを理解することは驚くほど難しい | p.17 | 12分 | |
第二章 人は認識のエネルギーをケチる | p.33 | 18分 | |
第三章 他者を判断する二段階のプロセス | p.58 | 18分 | |
第四章 信用レンズ | p.85 | 19分 | |
第五章 パワーレンズ | p.111 | 15分 | |
第六章 エゴレンズ | p.132 | 22分 | |
第七章 モーレツな「報酬追求人間」と、慎重な「リスク回避人間」 | p.165 | 17分 | |
第八章 依存心と不安感の強い人、回避的でよそよそしい人 | p.188 | 14分 | |
第九章 悪い印象を与えてしまったとき、誤解されてしまったとき | p.209 | 19分 | |
おわりに 相手と自分自身を正しく理解する | p.235 | 4分 |
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