『WIRED CAFE』ブランドを中心に88店舗の飲食店を展開するカフェ・カンパニー代表が、カフェづくりの原点やその理念について語った本。経営数字ではなく、感性を大切にする経営の視点などが紹介されています。
■人が集まる風景を創る
「場に人が集まる時、そこに発信性とエネルギーが生まれ、一種のメディア性を持つ事ができる」という事を経験を経て、「場」を創造する事業をやると決めた。
コミュニティビジネスの将来性について確信を持ったのは、1999年に原宿の明治通りの裏側にあるキャットストリートという遊歩道の再開発を友人が進めていて、それに携わった事である。渋谷川の暗渠で、当時人気のなかったこの通りには、将来の街づくりのあり方や、人の新しいコミュニティ形成についての可能性を感じた。
カフェを創ったのは、今のカフェ・カンパニーのはす向かいの場所。道路が二又に分かれていて、夏みかんの大きな気があり、その下はゴミ置き場になっていたような場所だった。この夏みかんの木のまわりに人が集まる風景を創ること。それが、当時は分断されていた原宿と渋谷の回遊性をも生み出す起点になるのだと、信じて突き進んできた。
これからは日本だけでなく世界的に見ても従来型のマスマーケットは減少を続け、いずれ消滅する。マス=大衆ではなく、個々に宿る「ライフスタイル」が今度の消費を牽引していく。
ここで大事にしているのは「マインドシェア(共有)」という考え方。マーケットシェアでは、顧客一人が最小単位である。しかし、マインドシェアは、一人の過ごし方すべてがマーケットになる。同僚とランチを食べる時間、取引先と打ち合わせをする時間、一人でじっくり考える時間、本を読む時間、休みの日に大切な人とゆっくり楽しむ食事の時間。一人の人間には、多種多様な時間の過ごし方がある。24時間×365日×数十年、その人の暮らしの様々なシーンに寄り添っていくというのが、マインドシェアという考え方である。
いろいろな人達の人生、ライフスタイルに思いを馳せて、その生き様が今どうであり、それぞれのお客様が5年後、10年後にどういう生活に成長、進化していくとハッピーなのかを考える。1つ1つミクロな視点を持つ事は大事である。
マインドシェアに大切な事は、一緒に分かち合える風景を大切にし、相手の心の中の風景を、共通の価値として一緒に豊かなものに育てていくこと。提供者側の論理ではなく、逆に、お客様は神様でもなく、「いいものをいい」と一生涯言い合える、大切な仲間と出会う場としていく事でコミュニティは深まっていく。
著者 楠本 修二郎
1964年生まれ。カフェ・カンパニー株式会社代表取締役社長 大学卒業後、リクルートコスモス入社。1993年大前研一事務所入社、平成維新の会事務局長に就任。 その後、渋谷・キャットストリートの開発等を経て、2001年カフェ・カンパニーを設立、代表取締役社長に就任。 コミュニティの創造をテーマに商業施設等のプロデュースにも従事。2011年6月に東日本の食の復興と創造の促進及び日本の食文化の世界への発信を目的として発足した 一般社団法人「東の食の会」の代表理事を務め、2013年より東京発の収穫祭「東京ハーヴェスト」を開催している。 また、日本の文化・伝統の強みを産業化し、それを国際展開するための官民連携による推進方策及び発信力の強化について検討するクールジャパン戦略推進会議に参加している。
帯 レバレッジコンサルティング 本田 直之 |
帯2 ビジネス・ブレークスルー大学学長 大前 研一 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 4分 | |
【Life】人生を旅しよう | p.14 | 23分 | |
【Concept】カフェ・カンパニーの視点 | p.54 | 26分 | |
【Method】感性をビジネスにする方法 | p.99 | 26分 | |
【Team】カフェ的な会社をつくろう | p.144 | 22分 | |
【Earth Trip】世界と同期する | p.182 | 26分 | |
あとがき | p.226 | 2分 |
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