未来のニーズが把握できるデータ
クックパッドでは、スマートフォンからのアクセスが急増しており、16〜19時という買い物時から夕食時にかけてアクセスピークを迎える。利用者はその時「今日は何を作ろう?」と、クックパッドの検索窓にキーワードを打ち込み、レシピを検索している。
クックパッドのサーバーに日々蓄積されているユーザーが打ち込んだ検索ワードは、単にみんなが毎日どのようなメニューを作ろうとしているかがわかるだけではない。「どんな材料を使って」「どのようなシーンで」「どんな工夫をしながら」料理をしようとしているのかがわかる情報源なのだ。
クックパッドの検索データで見られるのは、数時間後の未来だ。「レシピを検索する」というのは、手慣れた料理ではなく、慣れていない料理を作る時や、いつもの料理を少しアレンジしたい時だろう。だとすれば、検索が増えているという現象は、「手慣れていないけど関心を持っている人が増えている」という状態や、「ある食材や料理のいつもとは違う調理方法を知りたいと思っている人が増えている」という状態を示していると言える。
つまり、「たべみる」で見られる変化は単に関心の高さを示すだけでなく、今まさに起こりつつある変化の方向を指し示すものだ。
データの活用方法
生活者のニーズがダイレクトに反映された「レシピ検索データ」は、どのように活用されるのか。流通や小売の現場では、データには大きく分けて2つの活用方法がある。
①「どんな商品を組み合わせて、どのようなテーマやメニューで提案するか」といった売り場作りのための活用
②検索傾向の経年変化や年代別の違いをヒントとする商品開発のための活用
POSデータは「売れた結果」のデータなので、商品が世の中に出てからでなければ経年変化を知る事はできない。しかし「たべみる」はそれ以前の段階からの「ヒットの萌芽」のようなものも捉えられる。
「たべみる」は食品メーカーの営業企画部門での導入が多い。こういった部門では「たべみる」を小売店向けの営業提案を考えるヒントや、提案時の根拠となるデータ源として利用している。
変化するニーズを捉える工夫
「たべみる」は、データを日単位、年単位でも見られる。このメリットは「傾向に大きな変化があった日」をピンポイントで振り返られる事だ。それがわかれば「なぜ大きな変化が起きたのか」の分析が容易になるし、ピンポイントなイベント日に検索が増加しているかどうかなどがわかるようになる。
一方、年別データは経年変化を捉える際に便利だ。こういった工夫により利用者は「いままさに起きている変化」を捉える事ができるようになった。
「たべみる」の価値の1つにトレンドの発生がいち早く捉えられる事がある。