モノが売れない時代に成功している企業の事例から、イノベーションを見つけるための視点を紹介している一冊。
■顧客体験価値に目を向けよ
私達は、自社の顧客である消費者のニーズや欲求をある程度知っているつもりになっているが、実はあまりよくわかっていない。成熟した社会ではなおさらで、欲しいものはある程度揃っており、ある種の欲求を満たそうとする場合、たくさんの選択肢が存在する。
モノやサービスを買う時には、必ず「目的」がある。しかし、その目的が商品とダイレクトに結びついているケースは意外に多くない。例えば、「涼みたい」という目的を達するためには、アイスクリームや清涼飲料水、エアコンの効いた喫茶店、ホラー映画など、様々な商品・サービスがあり、解決手段が1つとは限らない。
ところが企業の中で働いていると、こうした単純な事実に気付かない。アイスクリーム会社は、別のアイスクリーム会社だけを競合だと思っている。しかし、消費者から見れば、喫茶店や映画館も競合である。そう考えると、商品そのものだけではなく、消費者の潜在的な欲求を満たす他の要素、例えばお店のデザインや店員のサービスなど、消費者の欲求に沿う形で顧客に満足を提供できるよう注意を払う事が必要になる。
以下の問いを通じて既存ビジネスを新しい文脈でとらえ直し、視野を広げる事で、イノベーションのきっかけをつかむことが大切である。
①今日のビジネスモデルはなぜできたのか?
「過去の歴史」からビジネスモデルの原点を振り返る。
②顧客の真の欲求とは何か?
「顧客の側」に立ち、購買の目的を理解する。
③新しい現実とは何なのか?
「偶然の成功」から「想定外」の見落としている現実に気づく。
④未来の兆候はどこに現れるのか?
「極地的な市場」にイノベーションの兆候を探索する。
⑤バルコニーから何が見えるか?
「クラスターの垣根」を越えて彼方との関わりを考える。
⑥環境の異なる世界で何ができるのか?
あえて「異国」に土着化し、現地目線で可能性を検討する。
⑦社会のどんな課題を解決したいのか?
社会課題を解決するために「ビジネスの枠」を越えた協業を模索する。
著者 山田 英二
K.I.T.虎ノ門大学院、金沢工業大学大学院教授 新日本製鉄にて財務、総務、事業開発を担当後、ボストン・コンサルティング・グループ(東京、メルボルンオフィス)にて国内外の様々な企業の戦略立案、業務改革などを経験し、2000年よりソロス・プライベート・ファンズ及び、その後身のグローブ・インターナショナル・パートナーズにおいて企業再生などの投資活動に従事。
帯 星野リゾート代表 星野 佳路 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 4分 | |
CHAPTER1 イノベーションを妨げるもの | p.17 | 22分 | |
CHAPTER2 イノベーションとは何か | p.61 | 24分 | |
CHAPTER3 顧客の視点「から」見えてくるもの | p.109 | 9分 | |
CHAPTER4 既存ビジネスを俯瞰し、イノベーションを自分事として考えるための7つの問い | p.127 | 8分 | |
CHAPTER5 今日のビジネスモデルはなぜできたのか | p.143 | 9分 | |
CHAPTER6 顧客の真の欲求とは何か | p.161 | 13分 | |
CHAPTER7 新しい現実とは何なのか | p.187 | 11分 | |
CHAPTER8 未来の兆候はどこに現れるのか | p.209 | 8分 | |
CHAPTER9 バルコニーから何が見えるか | p.225 | 16分 | |
CHAPTER10 環境の異なる世界で何ができるのか | p.257 | 9分 | |
CHAPTER11 社会のどんな課題を解決したいのか | p.275 | 7分 |
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