テキサスでCATV会社を経営していた企業家が、ドラッカーとの交流を書いた一冊。ドラッカーから学んだこと、友人としてのドラッカー、人としてのドラッカーの姿が書き綴られている。
■目的を見極める
「ものごとを始める時は最後の目的をしっかり見極めて」。何度ピーターの口から聞いただろうか。10回、あるいは100回でもきかないかもしれない。手がけた仕事に例外なく適用してきた格言中の格言がこれだった。
おそらくピーター・F・ドラッカーと会った回数は100回をくだらない。いつも、自分の問いに対して回り道をしながら、最後には明快で深みのある1つの答えを言ってくれた。いつも面談の日の前に長文の手紙を書き、趣旨を明確にしてから臨んだ。
ピーターの本当の仕事、マネジメントにおける第一の関心は、ビジネスのためのものではなく、ビジネスが関わり、奉仕し、影響を及ぼす人たちのためのものである。
独創的な思想家であった。ピーターが語った事は、すべて自らの頭で考え抜かれた事だった。2〜3世紀に1人の人物といって良かった。彼は人の本性、人と人との関係、様々な状況での人の行動をどこまでも観察した。その結果としての洞察を書いた。彼の著作には脚注がないので、いわゆる経営学者には不評だった。
初めて自宅を訪問し、書斎に通してもらった時、嫌でも目についたのは書棚に収まった無数の本だった。ほぼ小説だった。歴史書も混じっている。シェークスピア、ディケンズ、トクヴィル。経営書・ビジネス書など一冊も目につかなかった。
「経営書はいかに企業をうまく経営するか、その仕組みとか機能とか戦略を扱う。対して文学が教えてくれるのは人です。人がどう考え、行動し、人にとって何が大切かを教える。私の関心は経営もさることながら、それ以上に人にあります」。
マネジメントは人間の活動であって、企業の道具ではない。そして何より私達が手にすべきなのは、最高に機能する社会であるとよく言った。
著者 ボブ・ビュフォード
ドラッカー・インスティテュート諮問委員会 名誉委員長 CEOをつとめたビュフォード・テレビジョンは、当初はABC放送のテキサス州タイラー市での関連会社だったが、全国規模のCATV会社に成長させた。1999年に自社を売却し、社会事業に邁進。 1984年「リーダーシップ・ネットワーク」を設立して、イノベーティブな教会リーダーたちを支援した。ドラッカー財団の設立に尽力。現在、ドラッカー・インスティテュート諮問委員会名誉委員長。
帯 山崎製パン 代表取締役 飯島 延浩 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.1 | 2分 | |
第1章 「お帰りくださいね」 | p.5 | 6分 | |
第2章 「警戒せよ、白き馬にまたがれる者を」 | p.15 | 5分 | |
第3章 出会い | p.23 | 6分 | |
第4章 ピーターの本当の仕事 | p.33 | 6分 | |
第5章 ピーターの人間的魅力 | p.43 | 7分 | |
第6章 ピーターに教わったこと | p.55 | 7分 | |
第7章 成功から価値へ | p.67 | 7分 | |
第8章 人生の後半戦のゲームプラン | p.79 | 7分 | |
第9章 ピーターと牧師たち | p.91 | 5分 | |
第10章 大きくなれ、さもなくば去れ | p.99 | 8分 | |
第11章 目的をもったイノベーション | p.113 | 7分 | |
第12章 最高の教師にして友 | p.125 | 7分 | |
第13章 神からの問い | p.137 | 6分 | |
第14章 社会を救うということ | p.147 | 12分 |
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