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2015/11/10更新

「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる―――赤字知らずの小さなベンチャー「日本環境設計」のすごいしくみ

128分

3P

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会社のはじまり

とある異業種交流会で出会い、一緒に会社を立ち上げる事になった高尾正樹は、このとき東京大学の大学院に在学する技術者のタマゴ。その高尾に新聞記事を見せ「植物からバイオエタノールが作れて燃料になるなら、綿からバイオエタノールをつくれるのではないか」と話した。

高尾は、すぐに技術開発に向けて動き始めた。大阪大学の兼松康男教授から共同研究について快諾を頂き、実験に取りかかった。綿は95%が「セルロース」という「炭水化物」に一種でできている。これも「糖」がたくさん連なってできたもので、トウモロコシと同じように「セルロース」を「糖」に分解する事ができれば、バイオエタノールを作る事ができる。綿からバイオエタノールを作る技術的な課題は、このセルロースを糖化するプロセスの効率化にあった。

店で買ってきた綿100%のTシャツを2cm四方に切り取って、それをセルロースを糖化する働きのありそうな酵素を溶かした液に浸してみる。一晩置くと、糖ができていた。後でわかったのは、服を作る行程の中にセルロースを効率よく分解するポイントがあった事だった。もし、綿から直接バイオエタノールを作ろうとしていたら、ハードルを超える事はできなかったはずである。衣料品からバイオエタノールを作る事ができる。これで研究を進める事になり、2007年に日本環境設計株式会社を設立した。

ビジネスモデルの構築

実用化レベルの技術開発の目処が立ったのは2008年の春先。次に実証実験用のプラントが2009年5月に今治市にできた。使わなくなった衣料品やタオル工場から出る綿かすを集め、実証実験用のプラントでバイオエタノールを作った。

この頃から、この技術を武器に衣料品を回収してバイオエタノールを量産する事業モデルを作るために駆けずり回り、官公庁や会社を行脚した。

リサイクルをビジネスとして成立させる上で最も難しいのは、実際のところは技術ではない。いかに「集める」か、即ち回収の動線を作る事こそ、最も重要なポイントだった。「集める」事はできなければ「戻す」技術も役に立たない。

特に大事だったのが、企業の協力と消費者の参画の2点だった。集めるに当たって「売る」側の企業と、それを「消費する」人を取り込まなければ、服は集まらない。この2点を実現して事業化を成すために不可欠だったものが「しくみ」と「ブランド」だった。駆けずり回る内に、良品計画の金井社長に巡り会った。それがきっかけで、衣料品のリサイクルプロジェクト「FUKU-FUKU」が生まれる事になった。

小売店の店頭で衣料品を回収するモデルについて、経済産業省の調査事業としてスタートさせ、ワールド、良品計画、三菱商事、イオンリテール、丸井グループといった企業が参加してくれた。そして、消費者に認知されていく事になった。