なぜアウトサイトが重要なのか
現在では、大きな転機は新しい役職や正式な異動といったようにきちんとした形では訪れない事が増えてきた。ビジネスにおいて自分を取り巻く環境がわずかに変化しただけでも、求められる仕事の内容ややり方は変わる。
人からの承認や指示がほとんどない中でリーダーの役割を担わなければならない状況を「自ら起こす転機」と呼ぶ。自ら転機を起こす事が必要な環境になるにつれ、転機を起こすためにアウトサイトが必要になる。
アウトサイトを高める3要素
アウトサイトは3つの要素で構成される。それぞれ一緒に機能する事で、リーダーとしてのアイデンティティが形作られる。
①仕事の新しいやり方
マネジメントには、設定された目標や手順、組織構造の範囲内で、今日の仕事を可能な限り効率的に完璧にこなす事が求められる。一方、リーダーシップは、何をどのように行うかという点において変化を起こすのが目的である。このため、リーダーシップは設定された目標や手順、組織の範囲外で働き、なぜ変化が必要なのかを他の人に説明する事が求められる。そのため、リーダーとして行動するためには、次のような事に時間を使わなければならない。
・多様な人やグループの橋渡し役となる
・新たな可能性を描く
・変化のプロセスに人を巻き込む
・変化を表現する
②新しい関係性(ネットワーク)
リーダーとして考えるには、まずネットワーク上で行動する事から始める。現在のネットワークの周縁から始め、外部に新しいネットワークを構築する。日々の仕事をこなすためだけにネットワークを利用する人とは違い、有能なリーダーは新しいアイデアを活用し、全く違った世界の人とつながり、今までとは全く違う視点に触れるためにネットワークを築いて活用する。有能なリーダーは頼れる人を多く抱えていて、難題や新しい取り組みへの支援が必要な際に助けてもらっている。リーダーシップの重要なツールとしてネットワークを利用する方法は次の通り。
・トレンドを感知し、好機を見出す
・多様な分野のオピニオンリーダーや才能ある人とのつながりを構築する
・今以上の価値を生み出すために責任の範囲を越えて協業する
・集団的思考を回避する
・画期的なアイデアを生み出す
・キャリアについてのチャンスをつかむ
③外界に対する自分の新しい関わり方(自分自身)
リーダーの役割を担おうとしている時に、真の自分である事の罠はトラブルの元になる。なぜなら真の「自分」だと思っているものが、実際は捨てようとしている古い自分自身だからである。真の自分である事の罠から逃れる方法の1つは、実際に取り組む代わりに、自分が何者であるかという感覚で楽しみながら新しい行動を試す事である。