サイエンス思考の起承転結
サイエンスとは、森羅万象を相手に「起=見つける」「承=知る」「転=創る」「結=解る」、そして次のための「起=蓄える&伝える」を筋立てていく事である。「起承転結」の後に再び「起」が来て、発展ループができ上がる。
サイエンスは「全体の構造や性質は、部分の相互作用が演出する」といういわゆる要素還元主義である。森羅万象から興味のある課題を「ひと切れ」見つけて考える。それが「起=見つける」である。
対象の発見
研究とは面白いテーマを発見して切り取るところから始まる。問題とすべき対象を見つけ出し、その考察のために必要と思われる範囲を、とりあえず明確に決める。次に、研究対象について必要なデータを得るための実験と観測をする。「全体」「要素」「相互作用」に関する情報を収集する。ここが理解の出発点になる一次知識である。
知る
「全体理解」を進めるためには、その要素となる一次知識を集めて「部分理解」の一群を作る。具体的には、イメージ、データ集、グラフ、図、機器、機械、仮定、モデル等がある。一次知識は数多くの断片なので、一度にまとめる事はできない。従って、納得できる小さな組合せをいろいろ作ってグループ化していく。
創る
ここで大事な事は「智恵」を働かせて「知識」達を関係づけていく事だ。こうしてできあがっていくのが。二次以上の知識である。新しい智恵も生まれてくる。ここからは、他人にもらった知識ではなく自分の知識だ。しかし、それを既存の知識と比べると不具合が見つかったり、他の「部分知識」と矛盾したりするのが普通である。そこでまた考える事で、高次のステージに上がっていく。
解る
「部分理解」を矛盾なく整合させていくと、次第に知識の次元が上がり、まとまっていく。そして「全体理解」へと進む事ができる。作り上げられた「仮説」や「モデル」は試運転しなければならない。
自分が既に持っている知識や、実験や観測の結果が、矛盾なく整合がとれる事を確認する。そして、既存の知識体系の中に、自分が出した回答が無矛盾性、斉一性を持って組み込まれる。これで「解った」事になる。
わかるとは何か
サイエンスは、物事の関連を矛盾なくはめ合わせて大きな絵にまとめていくジグソーパズルみたいだ。そこではサイエンスの知識が「事実と理論の整合性」「体系の無矛盾性」を象徴するかのように、すき間なくはめ込まれている。
この知識体系は未完成である。科学者は実験や観測の結果を抱えて、その行き先を一所懸命に考える。矛盾なくはまる縁が見つかると「わかった!」となり、サイエンスの体系が広がっていく。
知識やデータが手元に山積みになってこそ、理解がはかどる。だから発明や発見には、豊富な知識の蓄積が極めて重要である。