ビル・ゲイツが感銘を受け、1,000万ドルを提供した世界史の授業。TEDで550万回以上再生されている人類の歴史を学べる授業です。
■人類の出現
我々ホモ・サピエンスが出現したのは、およそ25万年前、おそらくは東アフリカにおいてだった。人間と他の生物種を分ける顕著な特徴は、二本足で歩ける、道具の使用、計画性のある狩猟、例外的に大きな脳の発達などが挙げられるが、最も有力な目印は、象徴言語だと考えられている。人間は象徴言語を用いてコミュニケーションをする唯一の存在である。
コミュニケーション方法の精度、効率、幅が突如として増大した結果、人間は自分が学んだ以上の事を他人と共有できるようになった。そのおかげで、知識が失われる以上の速さで蓄積されるようになった。個人や世代が養った洞察は、その個人や世代の死と共に消え去るのではなく、未来の世代へと残せるようになった。
地上に生息する他のすべての生物種は、種全体の遺伝的組成が変わる事でしか行動を向上させる事ができない。しかし人間は、遺伝子の変更を待つ事なく、行動を向上させる事ができる。この「共同学習」という累積的な過程があるからこそ、人間は環境の変化や状況の変化に適応できるという例外的能力を手にしている。
自分達を同じ人類として結び付けているものは何かを理解するためには、人類には自分達自身の「ビッグヒストリー」があるということ、特定の地域、国家、民族、そして世界の歴史すら超越する大きな歴史があるということを理解する必要がある。
著者 デヴィッド・クリスチャン
1946年生まれ。歴史学者 1975~2000年、豪マッコーリー大学(ロシア史)、2001~2009年、米サンディエゴ州立大学(ビッグヒストリー)で教える。オーストラリアのマッコーリー大学で、1989年よりビッグヒストリーの授業を始める。 その後、同授業のDVDを観て感銘を受けた、マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツ氏から1千万ドルを提供され、同氏と共に「ビッグヒストリー・プロジェクト」を立ち上げ、世界中から注目を集める。
帯 マイクロソフト創業者 ビル・ゲイツ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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前 編 はじまる前の物語 | p.15 | 11分 | |
第1章 はじまり―狩猟採集時代 | p.35 | 27分 | |
第2章 加速―農耕時代 | p.83 | 40分 | |
第3章 我々の世界―近代 | p.155 | 44分 | |
付録A ビッグヒストリーを、子どもたちにどう伝えているか? | p.233 | 9分 | |
付録B 世界史の時代区分 | p.249 | 12分 |