メイカ−ズの最前線では、何よりも「売れる」という現実がモノづくりを進化させている。新しいモノづくりの潮流は3Dプリンターだけではなく、クラウドファンディングとモノとの相性がいい事にある。非言語に伝わるモノは、グローバルニッチという全く新しい市場を開拓してくれる。日本国内に100人しか需要がなければ、それは製品化されないが、世界100ヵ国に100人ずついるのなら、それは立派な市場になる可能性があるのである。
モノが作れる
基本的に現代の家電製品は「プリント基板」「電子部品」「組み込みソフトウェア」「外装部品」「説明書/付属品」「箱類」の6種類の構成要素でできており、意外と少ない。さらに何か電子機器などモノづくりをする時のプロセスは、昔に比べると、はるかに簡単になっている。モジュール化された部品と汎用IC「SoC」を組合せる事で製品を作る事ができるようになった。どのようにどのモジュールとSoCを組み合わせれば作れるのかがわかれば、あとは外装をデザインするだけで、基本的な機能を持つ家電製品はできてしまう。
新しいスタイルでモノづくりを行うメイカ−ズが台頭してきた背景には、こうした新技術がモジュール化される事により、電子部品が安価に手に入るようになってきている事がある。つまり、「モノが作れる」という環境が整いつつある。人々が競うように新商品に飛びつく要因は「どれだけ便利で生活が面白くなるか」など、その製品のコンセプトにある。そのコンセプトを生み出すのが「セットアップ」である。どんな機能をモジュールの組合せで作り出し、カッコいい、かわいい外装部品でデザインできるかという事である。そして、3Dプリンターはという存在は、この外装部品やパーツを作るという、最後の1ピースに過ぎない。
モノゴトで稼ぐ
モノがインターネットにつながる「IoT」が目指すところは、モノとモノとをつなぐ事で「モノゴト」に新たな価値を生み出す事にある。なぜIoTを主導しているのが製造業ではなくインターネット企業なのか。まさにモノを売る事で利益を得るのではなく、サービスで利益を生むのがIoTだからである。
モノではなくモノゴトで稼ぐ時には、インターネット的な考え方やロジックの立て方が必要である。そうした考えのもとで、ハードウェアのビジネスが従来のモノを売るだけで終わるのではなく、それを起点としたサービスに変わっていく。
モノがインターネットにつながり「モノゴトで稼ぐ」ようになってくると、製造業のメーカーとIT産業のインターネット企業との境目が徐々に薄れていく。その間に登場してきたのがメイカ−ズである。