コカ・コーラのデザイン戦略の責任者が、コカ・コーラの様々な事例をもとに、デザイン戦略について紹介している本。市場環境の激しい中で、これまでコカ・コーラがどのようにして戦略的にデザインを用いてきたのかが紹介されています。
■スケールとアジリティが必要
目まぐるしく変化する現在の社会で成功し、影響力を発揮するためには、どの企業もスケール(規模)とアジリティ(敏捷性)という2つの要素を必要とする。大企業はすでにスケールを備えているため、アジリティこそが問題となる。一方、スタートアップにとっては「スケール」こそが問題であり、利益をもたらし、自社を新たな地平へと導く方法を見つけなくてはならない。このスケールとアジリティの両方を生み出すために役立つものが「デザイン」である。
一世紀以上の間、コカ・コーラ社はデザインの活用によって200ヵ国以上にスケールを拡大し、市場価値が10億ドルを超える製品ブランドを約20種類も生み出し、2000万以上の小売業者をパートナーとし、1日約20億本の製品を販売してきた。
コカ・コーラ社は競争力を維持するために、デザインをどのように用いているのか。
■意図的にデザインする
コカ・コーラのデザインは、伝統を象徴する目に見える部分だけではない。ロゴや色は大切だが、目に見えない要素が大きな意味を持つ事が多い。コカ・コーラ社は、製品や広告、パッケージ、冷蔵庫などの他、成長を促すためにこれらがどのように結びつくかもデザインする。だからこそ、コカ・コーラのデザインは戦略的なのである。デザインをうまく用いれば、各要素が結び付き、1つのシステムの一部となる。例えば、コカ・コーラ社が新しいボトルをデザインする時、目指すゴールは、色を選び、素材を選び、形や大きさを決める事だけでなく、目の前にあるビジネスの問題を解決する事になる。
コカ・コーラは、創業後70年ほど、1つのブランド、1つの製品を、1つのパッケージデザインで販売してきた。価格もほとんどの地域で同じで、70年以上の間、5セントで売られてきた。成長戦略は、すべての国の村や町でコカ・コーラを販売すること、即ち世界中の誰もが「欲しい時に手の届く」ところにコカ・コーラを置く事だった。
その後、コカ・コーラはダイエット・コークを発売。2001年には「総合飲料企業」になるという大きな戦略的決定を下した。その結果、製品ポートフォリオからシステムの運営に至るすべてが変わり、複合性がもたらされた。そして、デザインに対するアプローチの変更をも必要とした。炭酸飲料からコーヒー、ジュース類に至る幅広い製品ポートフォリオに対し、同じデザイン戦略で間に合うはずがない。
コカ・コーラ社は、その後約10年にわたって「意図的にデザインする」取り組みを進めた。これは、コカ・コーラ社の成長戦略と明確に結びついた戦略的デザイン、様々な手段によってすべての市場でスケールとアジリティを生み出すデザイン、人々の意欲をかき立てるデザインを意味している。
著者 デビッド・バトラー
ザ コカ・コーラカンパニー イノベーション&アントレプレナーシップ担当バイスプレジデント デザイン会社勤務を経て、ウェブ関連コンサルティング会社「プロセス1234」を起業。2004年にコカ・コーラ社に入社し、デザイン戦略の責任者を務める。2012年より現職。 2009年、ファストカンパニー誌の「マスターズ・オブ・デザイン」に選出され、2014年にはフォーブス誌の「経営幹部ドリームチーム」に選ばれている。
著者 リンダ・ティシュラーファストカンパニー誌 シニアエディター 主に企業のデザイン戦略について執筆。ボストン・グローブ紙やハフィントン・ポストにも寄稿している。
帯 作家 ダニエル・ピンク |
帯2 IDEO CEO ティム・ブラウン |
週刊ダイヤモンド 2015年 11/28 号 [雑誌] ランチェスター戦略学会副会長 福田 秀人 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.9 | 3分 | |
プロローグ | p.16 | 10分 | |
第1章 デザイン | p.31 | 18分 | |
第2章 スケール | p.57 | 24分 | |
第3章 複合性 | p.91 | 24分 | |
プロローグ イノベーションの第四期 | p.126 | 7分 | |
第4章 もっと賢く | p.136 | 27分 | |
第5章 もっと速く | p.175 | 23分 | |
第6章 もっと無駄なく | p.208 | 25分 | |
おわりに | p.244 | 11分 |
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