人は誤った思い込みや願望、予測によって、幸福とはかけ離れた選択をする。幸福とはそもそも何かを定義し、幸福の量を最大化するために、どうすれば良いのかを行動経済学の観点から紹介している本。
■幸福とは何か
幸福とは、快楽とやりがいが持続する事である。幸せな人は、ネガティブな感情よりもポジティブな感情を多く抱いている。快楽の様々な感情をより頻繁により強く感じていれば、より幸せでいられる。そして、もう1つ大きな影響を与えるのがやりがいがあるという感情だ。
本当に幸せになるには、快楽とやりがいの両方を感じていなければならない。その組み合わせ方はいろいろで、時々で求める度合いも異なるが、その両方を感じる必要がある。
自分自身の幸福が快楽とやりがいの間をどう行き来するかは、自分が決める事だ。しかし、最終的に重要なのは自分が何らかの感情を抱く頻度とその感情の強さだ。自分にとって最適な快楽とやりがいのバランスが取れている時、最も幸福だと言える。
■注意が幸福をもたらす
幸福を追求するには、今まさに追い求めているものは何なのか、何を達成しようとしているのかを明確にする必要がある。幸福とは快楽とやりがいが持続する事である。
幸福をもたらすのは、金銭や結婚、セックス、その他いろいろな直接的なインプットではない。それぞれのインプットに向ける注意である。
■注意の配分を誤ると幸福になれない
人間は注意の配分を誤りがちである。人間が注意の配分を誤るのは意識的なミスと無意識的なしくじりによるもので、そのせいで最大限幸せになれない。幸せになる事を邪魔する注意の障害物には「誤った願望」「誤った予測」「誤った思い込み」がある。
自分の選択がもたらす結果ではなく、目の前の事に注意を向けてしまっていると、幸せをもたらさない選択をしてしまう。そして、信念と行動が矛盾していたり、自分自身に非常に高い期待をかけていたりすれば、そもそも自分自身を受け入れる事すらできなければ、簡単に不幸に陥ってしまう。
著者 ポール・ドーラン
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 行動科学教授 過去に、ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの招聘によりプリンストン大学で研究員を務め、論文を共同執筆している。英国家統計局および米国科学アカデミーに対し、国民調査で幸福度を測定する手法について助言している。
帯 作家 ニコラ・タレブ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 章 私はいかに吃音を克服したか | p.16 | 7分 | |
第1章 幸福とは何か? | p.28 | 20分 | |
第2章 幸福について知っていること | p.56 | 22分 | |
第3章 幸福をもたらすものは何か? | p.86 | 27分 | |
第4章 なぜもっと幸せでないのか? | p.123 | 31分 | |
第5章 幸福を決断する | p.170 | 23分 | |
第6章 幸福を設計する | p.201 | 21分 | |
第7章 幸福を実行する | p.230 | 24分 | |
第8章 なりたい自分になる | p.263 | 22分 | |
結論 | p.293 | 6分 |
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