社員に自由を与える
偉大な企業をつくりあげるには多くの方法があり、自由度の低いモデルでも高いモデルでも企業は成功してきた。グーグルは後者である。社員に自由を与えれば、私達を驚かせ、喜ばせ、仰天させるような事をしてくれるものだ。
そのためには、人の心をつかむミッションを見つけること、透明性を保つこと、社員に発言権を与えること、この3つの要素を文化にすることが大切である。
①ミッション
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というのがグーグルのミッションだ。この種のミッションが個人の仕事に意味を与えるのは、それが事業目標ではなく道徳だからだ。歴史上極めて大きな力を振るった運動は、道徳的な動機を持っていた。このミッションへの信頼が基本的に共有されているため、ほとんどのグーグラーは結束している。自分が世界に変化を起こしていると知る事ほど、モチベーションを高めるものはない。
重要なのは、このミッションを決して達成できない事だ。整理すべき情報もそれを使えるようにする方法も尽きる事がない。これが、絶えずイノベーションを起こし、新たな分野に進出するモチベーションとなる。
②透明性
グーグルの場合、新規採用されたソフトウェアエンジニアは、初めて出社したその日にほぼすべてのコードベースにアクセスできる。イントラでは、製品ロードマップ、新規事業計画、社員スニペット(週1回の状況報告)、社員とチームの四半期目標を見る事ができる。週に1度の金曜夜の全社員ミーティングでは、ラリーとセルゲイが会社全体のホスト役を務める。前週の情報の更新、製品のデモ、新入社員の歓迎等が行われるが、最も重要なのは、会社の誰からの、どんなテーマについての質問にも30分をかけて回答する事だ。
高い透明性の利点は、何が起きているかを全社員が知っている事だ。情報を共有していれば、社内の対立が避けられる。さらにオープンを原則とすれば、社員は自分達は信頼に値するし、優れた判断力を持っていると信じてもらっていると実感できる。
③発言権
発言権とは、会社の経営方針について、社員に対して実際に発言の機会を与える事を意味している。社員にアイデアを表明する権利を与える事は、質の高い意思決定を促し、組織効率を高める重要な要因である。
毎年恒例のプログラム「官僚バスターズ」では、グーグラーは最大のフラストレーション源を特定し、解決へ向けて努力する。第1段階で、彼らは570のアイデアを出し、55000回を超える投票をした。グーグラーの求める改革を実行すると、彼らは満足し、仕事はやりやすくなった。