Googleの人事部門のトップが、採用、育成、評価の仕組みまで、Googleの組織作りの方法について紹介している一冊。いかに優秀な人材を集め、パフォーマンスを引き出すかについて書かれています。
■社員をオーナーのように扱う
地上で最も有能な人々は、物理的にますます自由に動き回り、テクノロジーを通じて結びつき、また何よりも、雇用主の目につきやすくなっている。こうしたグローバルな幹部要員は自由度の高い企業で働きたがるから、有能な人材はその手の企業に流れ込む。適切な環境を構築できるリーダーは、地上で最も有能な人材を引きつける磁石となる。
だが、そうした職場をつくるのは難しい。経営の中枢における権力の力学が自由とは逆方向に働くからだ。グーグルのアプローチはこの難局を打開する。グーグルは、権力と権威をマネジャーから社員へと譲り渡すよう意識している。マネジャーはチームに奉仕する。グーグルのリーダーシップの原則的なスタイルは、賞罰を与える事ではなく、障害を取り除いてチームを鼓舞する事にマネジャーが集中するというものだ。
必要なのは、社員は基本的に善良なものだという信念、そして、社員を機械ではなくオーナーのように扱う勇気だけだ。機械は与えられた仕事をこなすが、オーナーは会社やチームの成功に必要な事なら何でもやる。
■ワーク・ルールズ
自由主導型の組織は、すべての社員の中から最高の洞察と情熱を活用できるため、弾力性に富み、成功を持続できる。そのための環境を手に入れるために、チームや職場を変える10のステップは次の通りである。
①仕事に意味をもたせる
自分の仕事から恩恵を受ける人と少しつながるだけで、生産性が向上し、人々をより幸せにできる。誰もが自分の仕事に目的を求めている。グーグルのミッションは人々を会社に引き寄せ、働き続けたいと思わせ、リスクを取って最大限のパフォーマンスをしようと駆り立てる。
②人を信用する
人間は基本的に善だと信じるなら、信念に従って行動する。組織やチームの人々と正直に向き合い、情報を開示して、仕事の進め方について発言権を与える。自分が経営する会社だと思って行動してもらう事を可能にする唯一の方法は、自分の権限の一部を手放して、社員がその権限を担えるように成長する余裕を与える事だ。
③自分より優秀な人だけを採用する
採用の質で妥協する事は間違いに他ならない。間違った採用は有毒だ。本人のパフォーマンスが損なわれるだけでなく、周囲のパフォーマンスとモラルと活力を堕落させる。採用はチームで担当し、客観的な採用基準を前もって決めて、決して妥協しない。
④発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない
批判と結果を結び付け、失敗に個人的にも経済的にも傷つけられたと感じる時、人は学習と成長を受け入れる事なく反論する。常に発展的な対話を心がけ、安心と生産性につなげていくこと。
⑤「2本のテール」に注目する
会社やチームで最も優秀な人を、じっくり観察する。環境とスキルと根気の組み合わせに注目して、彼らが秀でている理由を探す。最も優秀なプレイヤーを手本にチェックリストをつくって真似するだけでなく、彼らの社内の教師もやらせる。一方で、最も業績が低い人にも思いやりを忘れてはならない。
⑥カネを使うべき時は惜しみなく使う
社員が最も困っている時こそ、人生最大の悲劇や喜びに遭遇した時こそ、会社はカネを惜しんではいけない。最も人間的な瞬間に手を差し伸べる事は、会社が社員1人1人を気にかけている事を強調する。
⑦報酬は不公平に払う
ほとんどの仕事のパフォーマンスはべき分布に従う。チームが創出する価値の90%以上は最も優秀な10%の才能がもたらす。優秀なメンバーの価値は、平均的なメンバーをはるかに上回る。その差を本人が感じられるようにする。
⑧ナッジ(きっかけづくり)
私達は常に周囲の環境からナッジを受け、周囲の人にナッジを伝えている。これを利用して、チームをより幸せに生産的にする。
⑨高まる期待をマネジメントする
⑩楽しむ
著者 ラズロ・ボック
グーグル人事担当上級副社長 人事部門のトップとして、世界70カ所以上のオフィスで働く5万人以上の「グーグラー」の採用、成長、モチベーションの維持に関するあらゆる分野を束ねる。若いころからさまざまな仕事を経験しており、コンサルティング会社やスタートアップで働き、俳優としてテレビに出演し、問題を抱える若者を支援する非営利団体の立ち上げに加わった。 米西海岸のリベラルアーツカレッジの名門ポモナ・カレッジの評議員や、ベンチャーキャピタルの出資を受けている企業数社の顧問や取締役も務める。
帯 作家 ダニエル・ピンク |
帯2 ペンシルベニア大学ウォートン校教授 アダム・グラント |
帯3 IDEO 社長兼CEO ティム・ブラウン |
週刊ダイヤモンド 2015年 8/29 号 [雑誌] 八重洲ブックセンター八重洲本店 販売課リーダー 鈴木 寛之 |
エコノミスト 2015年 9/8 号 [雑誌] |
日本経済新聞 日本リサーチ総合研究所主任研究員 藤原 裕之 |
週刊東洋経済 2015年 9/12号[雑誌] 福山大学経済学部教授 中沢 孝夫 |
ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー 2016年 01 月号 [雑誌] (意思決定の罠) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はしがき | p.3 | 6分 | |
なぜグーグルのルールはあなたの役に立つのか | p.23 | 9分 | |
第1章 創業者になろう | p.37 | 13分 | |
第2章 文化は戦略を食う | p.57 | 25分 | |
第3章 レイク・ウォビゴンの幻想 | p.95 | 16分 | |
第4章 最高の人材を探す方法 | p.119 | 18分 | |
第5章 直感を信じてはいけない | p.147 | 30分 | |
第6章 避難所の運営は避難所に任せる | p.193 | 32分 | |
第7章 誰もが嫌う業績評価と、グーグルがやろうと決めたこと | p.243 | 28分 | |
第8章 トップとボトムに注目しようーー二つのテール | p.287 | 25分 | |
第9章 学習する組織を築こう | p.325 | 19分 | |
第10章 報酬は不公平でいい | p.355 | 28分 | |
第11章 タダ(ほぼタダ)ほどステキなものはない | p.399 | 21分 | |
第12章 ナッジ/選択の背中を押す | p.431 | 30分 | |
第13章 人生は最高のときばかりじゃない | p.477 | 17分 | |
第14章 あなたにも明日からできること | p.503 | 13分 | |
人事オタクのためのあとがき | p.523 | 16分 |
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