西武百貨店の社長を務めた著者が、成熟化した現在について、様々な切り口から考察している一冊。時代のキーワードから、これからのマーケティングなどについて考える内容です。
■否常識のススメ
「非常識」ならぬ「否常識」とは今までの常識を一度疑って否定してみる事だ。「常識」はすぐに陳腐化してしまう可能性があるから、大事な事は決して常識に囚われずに、何に対しても一度疑ってみて、絶えず自分の頭で考える事だ。これからの矛盾の時代に、新たなマーケティングや事業を考えるためには、このプロセスが必要である。
常識を捨てれば色々な事を考えられる。常識は、時間が経って固まると「神話化」する。だがその古びた「神話」は、一旦疑ってみた方が良いかもしれない。
■文明と文化
文明は時代によって地域を替えながら栄え、どんどん塗り替えられ進化してきた技術や科学や文化であり、最終的には西洋文明に帰着する。文化はそれぞれの地域に文明のDNAとして残り、受け継がれている芸術、宗教、風習、知識などをいう。「文明」とは世界今日中の普遍的価値で「文化」は地域特有の価値だ。
すべての問題が「文明万能」「世界経済は成長し続ける」という大きな勘違いから始まっていて、文明的な「グローバルスタンダード」化が、文化的な「歪み」を生み出している。「文明」ではなく「文化」の歪みこそが軋轢を生む事に注意しなければならない。だからリスクヘッジのための「文化」的視座が大切である。
著者 水野誠一
1946年生まれ。インスティテュート・オブ・マーケティング・アーキテクチュア 代表取締役 大学卒業後、西武百貨店に入社。1990年、西武百貨店社長に就任し、1994年に退任。 1995年、新党さきがけから、第17回参議院議員通常選挙に比例区から出馬し、初当選。政策調査会長を務める。1998年に新党さきがけが事実上解党した後も民主党には合流せず、参議院クラブを結成。1999年、無所属の会を結党。 2001年、静岡県知事選挙に落選。1995年に自身が設立した株式会社インスティテュート・オブ・マーケティング・アーキテクチュアの代表取締役の他、複数の企業の役職に就いている。
帯 作家 田中 康夫 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.12 | 6分 | |
第1章 成長期から成熟化期へ | p.28 | 10分 | |
第2章 「否常識」を持って今を疑え! フラジャイルな現実 | p.52 | 23分 | |
第3章 「知恵の時代」成熟化期のキーワード | p.106 | 9分 | |
第4章 「ソーシャル・マーケティング」は「知恵のマーケティング」 | p.128 | 12分 | |
第5章 「時代はスパイラル」スパイラルな進化と深化をつくりあげる | p.156 | 8分 | |
第6章 やってみる…事例研究 | p.176 | 14分 | |
第7章 「ホロ・デザイン」の時代 | p.210 | 18分 | |
第8章 21世紀を「文化力」で乗り切る | p.252 | 7分 | |
あとがき | p.268 | 3分 |
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