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2015/09/02更新

日本スターバックス物語──はじめて明かされる個性派集団の挑戦

200分

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日本のスターバックスはこうした始まった

「アフタヌーンティー」や「アニエスベー」など数々のブランドを展開するサザビーが、日本でスターバックスを立ち上げるために行ってきたことが紹介されている一冊。当時、アメリカのコーヒーはまずいというのが常識だった日本で、いかにスターバックスを成功させたのか。


■日本スターバックスの主人公
サザビーは米国スターバックス創業の1年後、1972年に設立された。この会社は70年代はファッションメーカーの下請けの仕事などで実力をつけ、80年代にブレークした。1983年にカジュアルウェア「アニエスベー」を合弁事業で開始。また、レストラン「キハチ」、ティールームと雑貨店「アフタヌーンティー」を展開し、サザビーは「衣食住」の各分野で脚光を浴びるブランドを生み出した。90年代前半、サザビーは、全国の百貨店や駅ビルなどの商業施設に次々と衣食住のブランドを複合出店していた。

そんな時に舞い込んできたプロジェクトが、日本でのスターバックスの立ち上げだった。当時、アメリカのコーヒーと言えば、薄味でまずいというのが常識だった。一方日本はこだわりのコーヒーを出す喫茶店には事欠かない国。さらにドトールなどのチェーン店が急成長し、安価なコーヒーを全国で提供している。コーヒーは分が悪いのではないか、というのが業界のプロも含めて、多くの日本人が思っていた。

超短要約

サードプレイスが本当にできたら、1杯300円、400円、500円以上払ってもいい。そんな声が6割以上を占めた。遊び心と楽しい会話と洗練された雰囲気。そして何よりもおいしい飲み物が納得の価格で供される場。スターバックスのコンセプトは、頭の固い男たちを軽々と飛び越え、女性たちの心に刺さった。

日本市場の固い殻を破るのに足りないのは何か。それは「スターバックス体験」を本物と感じ、積極的に評価し期待してくれる「新しいタイプの顧客」だった。1杯200円では「スターバックス体験」は表現できず、日本に良質なサードプレイスは生み出せない。しかし、1杯300円程度まで価格を上げる事が可能なら、十分に勝算がある。この値段を苦にしない顧客がたくさん現れてくれれば、今まで日本人が体験した事のない新しいコーヒー文化を創造できる。

コーヒーチェーンのコーヒーには1杯200円までしか出せないと考える男性たち。一方で、1杯300円以上でも価値があると感じる女性たち。この違いが「ブランド」である。

ブランドの「約束」の1番目に来るのは、自分達が提供するモノは「ほんもの」だという事である。2番目には、提供するモノの価値は価格に見合っているという「納得」である。そして第3に、ブランドが提供するモノを使用したり利用したりする事で、他にはない「心の充足」が得られる事である。スターバックスでは、シュルツのコーヒーへのこだわりを店舗パートナーが「ほんもの」だと認め、納得と共感を持ち、自分自身のこだわりとして実践した。全パートナーが一丸となって取り組めた事で、結果としてブランドとして認知されていった。

著者 梅本龍夫

1956年生まれ。立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科特任教授 電電公社(現NTT)に入社し、社内留学制度を利用してスタンフォード大学ビジネススクール修了(MBA)。ベイン&カンパニー、シュローダーPTVパートナーズを経て、サザビー(現サザビーリーグ)の取締役経営企画室長に就任。同社の合弁事業、スターバックス コーヒー ジャパンの立ち上げプロジェクトの総責任者を務める。 2005年に退任し、同年アイグラム、2011年にリーグ・ミリオンを創業。サザビーリーグ退職後もコンサルタントとして10年間、同社が展開するブランドの企画などに携わってきた。現在、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。

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エコノミスト 2015年 8/4 号 [雑誌] エコノミスト 2015年 8/4 号 [雑誌]

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
プロローグ 最初のフォロワー p.11 3分
1章 日本スターバックス物語の主人公たち p.18 10分
2章 アメリカ発のコーヒーは成功するのか? p.36 9分
3章 「これがかっこいいんだよ」 p.52 8分
4章 女性の心をとらえた! p.66 7分
5章 「対等」でいく p.78 11分
6章 フォロワーがいない p.98 7分
7章 スターバックス、いいね! p.110 4分
8章 全員合格! p.117 5分
9章 1号店を探して p.126 6分
10章 「ダブルトールラテ!」 p.138 6分
11章 自分で考えて動く p.149 10分
12章 喫煙か、禁煙か、それが問題だ p.166 7分
13章 スターバックスが輝く場所 p.178 6分
14章 夢は1000店舗 p.188 6分
15章 アート・オブ・エスプレッソ p.198 8分
16章 サザビー・ショック p.214 3分
17章 スピリットはどこへ p.220 9分
18章 スターバックス・バブル p.236 6分
19章 天才シュルツの登場 p.247 5分
20章 サザビーリーグ物語 p.256 6分
エピローグ フォロワーシップの旅 p.266 6分

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