結婚、就職、転職、出産、育児など、女性が働き続けるために、どのようにしていけば良いのか。オーガニックハーブの製品開発を行っている女性社長がこれまでのキャリアについて語りながら、女性としての働くことの苦労を語った一冊。
■女、仕事する
就職したのは銀行系のシステム会社。銀行は体質的に古い感じで、女の人は偉くなれない仕組みだった。「男性が働いて女性は家庭を守る」という考え方が、世間の価値観としても色濃くある時代だった。入社して3年が経ち、男性の同期達がリーダーや主任になるタイミングでも女性はなれなかった。そして、「男女が平等に評価されていない」という事を社内で公然と口にするようになったが、やがて抵抗するのもむなしくなって、独立系のシステム開発会社に転職した。
転職して2年目に妊娠。働く女性が妊娠する「ベストなタイミング」なんて、実はない。あるとしたら、その人はそもそも戦力外で、会社としても円満に退社してくれるのを望んでいた、というような場合。そこから妊娠8ヶ月直前まで、働いたが上司との信頼関係は失われてしまった。あきらかに「もう期待してないよ」という感じがひしひしと伝わってきた。健康で長く働く、などという考え方は男女問わずに「ない」に等しい業界だった。
女性にはやはり知恵がいる。保育園が増えて、待機児童が減ろうとも、男性の育児「参加」が増えようとも、社会の根幹はそう簡単には変わらない。ルールを変えられるのは、依然として男性達である。その中で女性が頑張っていくのはすごく厳しい。体調の変化、結婚、出産、子育て、介護。
男性社会への違和感という感覚は忘れないでいい。同時に男性以上にバリバリ働いて必死に偉くなって、女だからって何か言われないようにするとか、そういうパワーゲームに乗らないという事が、女性の知恵として大事である。
著者 大瀧純子
1967年生まれ。シナジーカンパニージャパン最高経営責任者 オーガニックハーブ製品の開発者であり、企画プロデューサーでもある。大学卒業後、システムエンジニアとして大手金融会社のシステム開発などに携わった後、出産、子育てのため家庭に入る。その後、在宅での商品開発やバイヤー職など、あらたなキャリアを積み重ねる。
帯 作家 よしもと ばなな |
THE21 2016年 04 月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.1 | 2分 | |
第一章 女、仕事する | p.9 | 11分 | |
第二章 女、母になる | p.31 | 11分 | |
第三章 女、仕事をつくる | p.53 | 13分 | |
第四章 女、クビになる | p.79 | 14分 | |
第五章 女、会社を動かす | p.107 | 9分 | |
第六章 女の仕事、七カ条 | p.125 | 14分 | |
第七章 女、社長になる | p.153 | 11分 | |
第八章 女、ずっと仕事する | p.175 | 11分 | |
あとがき | p.196 | 2分 |