期間ごとに仕事を見積もる
スクラムでは、決められた期間の中で達成するべき目標を期間ごとに立てていく。各サイクルの最後には完成した機能を備えた成果物を出す。この進め方では、開発チームは仕事の成果に対してすぐにフィードバックを得られる。仕事の方向性は合っているかなどを検討できる。このサイクルを「スプリント」と呼ぶ。各サイクルの最初にはスプリントの計画を立てるミーティングを行う。2週間なら2週間でどれだけの仕事ができるかをチームで話し合う。プロジェクトに必要なタスクを優先順位で並べたリストから、この中からどれだけ完成させるかを決めていく。
スプリントの長さは常に一定にする。仕事のリズムを確立して、一定の期間の中でどれだけのタスクをこなせるかを把握する。個々のスプリントで大切な原則は、いったん何を達成するかを決めて合意したらタスクの変更はしない事だ。スプリントの最後にはチームが集まり、期間中に完成した仕事を共有し、進捗を把握する。そして、自分達がどの程度のスピードでこなせるかという基準(速さ)を知る。
チーム内の情報共有で問題解決を早期に図る
スクラムでは毎日15分以内のミーティングを、チーム全員で行い、次の3点を問いかける。
①昨日何をしたか
②今日何をするか
③チームの妨げになっている事は何か
目的は今のスプリントの現状をチーム全員が把握する事にある。メンバーが共有している情報が多いほど、チームのスピードは上がる。問題があった時に自分達で解決に導くきっかけになるからだ。1人のメンバーに問題があれば、皆が一緒に考え、助け合って速やかに解決するように努める。
ストーリーでチームの仕事が速くなる
やるべき仕事をリストアップする時、各項目をただ羅列してしまいがちだ。しかし、全体から部分をばらばらに抜き出し、背景情報を無視して検討しようとすると問題が生じる。人間は背景があってこそ理解できる。タスクの詳細を詰めていく時に、まず考えるべきは「このタスクは誰のための仕事か」という点だ。次に「このタスクで何を達成したいのか」を考える。最後に「なぜこれを必要としているのか」を考える。ストーリーを書く時に大切なのが次の2つの問いかけである。
①ストーリーが準備できているか
よく書けているストーリーは「単独で実行可能である」「変更の余地がある」「価値がある」「規模を把握できる」「小さい」「テスト可能である」の6つを満たす。
②完了したかどうかをどう判断するか
何の条件を満たしどのテストをクリアすれば完了とみなすのか。
ストーリーが真に準備できていればチームの仕事の速さは倍になる。さらにストーリーを完了できていると、そこからさらに2倍速くなる。スクラムでは、こうしたプランニングをスプリントごとに必ず行う。