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2015/07/15更新

なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?

  • 上阪 徹
  • 発刊:2015年5月
  • 総ページ数:277P

178分

1P

  • 古典的
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消費者の声を聞く

まず取り組んだのが、消費者の声にとことん耳を傾けてみる事だった。百貨店や専門店ではスイーツを買うのに、どうしてコンビニでは買わないのか。中でも最も多かった声が、生クリームがおいしくないというものだった。コンビニのスイーツは男性向けに量を意識してしまう。そのため、コストを下げようと、クリームは油脂メーカーの植物性脂肪のホイップクリームを使うのが常識だった。これだと1kg300円ぐらい。それに対して、専門店では1kg1000円ほどの乳業メーカーの生クリームを使っていた。この差にスイーツの味に敏感な女性たちは気が付いていた。

コストは高くなり、値段が少し上がる。しかし、コンビニのデザートとしてはちょっと高いけれど、スケールメリットを活かし、百貨店や専門店のデザートよりは安い、というゾーンを作れると考えた。生クリームを変えて、新しいマーケットを作ろうと考えた。

人気の洋菓子屋を食べ歩いたり、たくさんのクリームを食べ、おいしいクリームとは何かを考えた。そうやってわかったのが、最初はミルク感があるけれど、すごく軽いクリームというものだった。ターゲットにした女性のお客様の不満はクリームにあった。ならば、おいしいクリームを作らない限り、絶対にこのブランドも成り立たないと思った。

求めるクリームができた時点では、何のスイーツを作るのかは決まっていなかった。そこで目をつけたのが、ロールケーキだった。一部の専門店でロールケーキが人気になっていた。ロールケーキはクリームと生地だけなので、クリームをたくさん食べる。おいしいクリームに気付いてもらうには格好の商品だった。しかも専門店のロールケーキは家族で食べる1本売りで、1人で買うには不満があり、チャンスだった。

ローソンでは、デザートは全国で1日5万個ほど売れると、ヒット商品の部類に入る。発売直後から『プレミアムロールケーキ』はお店で20万個は売れ、すぐに売り切れる店舗が続出した。

一方、こんなローソンの1人勝ちを競合が黙って見ているはずがない。半年後には10社以上がロールケーキを売り出した。そして経営陣はすぐにテレビCMを決め、最高で1日60万個が売れる超メガヒットとなった。さらに競合が出てくる事を見越して、すぐにモンドセレクションに出し、金賞を受賞した。おかげで本家はここだと伝える事ができた。

実は、コンビニ業界は真似を恐れない。真似をされる事で、商品が認知されてマーケットが一気に広がっていくからである。ブームになれば、すぐに消費者の知るところになる。『プレミアムロールケーキ』は、コンビニのスイーツのイメージをも一新してしまった。