103歳となっても現役で活動している現代美術家の篠田桃紅氏が、100歳を過ぎて至った境地を語った一冊。人は歳を重ねていくと何を思うのか。
■生まれて死ぬ事は、考えても始まらない
これまで長寿を願った事はない。死を意識して生きた事もない。淡々と生きてきた。今でも死ぬまでにこういう事はしておきたいなど何1つ考えていない。いつ死んでもいいと思った事もない。
死生観がない。考えたところでしようがないし、どうにもならない。人の領域ではない事に、思いをめぐらせても真理に近づく事はできない。それなら一切を考えず、毎日を自然体で生きるように心がけるだけである。
100歳を過ぎると、人は次第に「無」に近づいていると感じる。どうしたら死は怖くなくなるのか。考える事をやめれば怖くない。どうせ、死はいつか訪れると決まっている。人は老いて、日常が「無」の境地に至り、やがて、本当の「無」を迎える。それが死である。
著者 篠田 桃紅
1913年生まれ。美術家 5歳頃から父に書の手ほどきを受ける。その後、女学校時代以外はほとんど独学で書を学ぶ。1950年から数年、書道芸術院に所属して前衛書の作家たちと交流を持つが、1956年に渡米。抽象表現主義絵画が全盛期のニューヨークで、作品を制作する。文字の決まり事を離れた新しい墨の造形を試み、その作品は水墨の抽象画=墨象と呼ばれる。 墨を用いた抽象表現主義者として、世界的に広く知られており、数えで一〇三歳となった今も第一線で制作している。
日経ビジネス |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第一章 103歳になってわかったこと | p.9 | 14分 | |
第二章 何歳からでも始められる | p.55 | 12分 | |
第三章 自分の心のままに生きる | p.95 | 12分 | |
第四章 昔も今も生かされている | p.133 | 12分 |