「強さ」とは
「強さ」は2つの基本要素、世界を動かす「能力」と「意志の力」から成り立っている。この場合の「能力」には、世界を動かすために必要な資質、体力、技術的スキル、社交術、苦労して手に入れたノウハウなどが含まれている。
意志とは、障害や抵抗を乗り越えて、行動を貫き通そうとする熱意である。こうした資質は「決断力」「気骨」「意欲」「野心」「根気」「粘り腰」などと呼ばれ、あらゆる分野において重要視される。
一般的に人々は「強さ」のシグナルを発している人物を高く評価し、敬意を抱く。「強さ」をアピールし、周りの人からの尊敬の念を引き出す事は可能である。しかし、それだけではある程度の成果しかあげられない。単なる「敬意」を「称賛」にまで引き上げるためには、人々の好感を得なければならない。そのためには「温かい人」というイメージを同時に打ち出す必要がある。
「温かさ」とは
相手が自分と同じような関心や不安を抱いている事がわかった時、私達はその人に「温かさ」を感じる。親近感を覚えるからである。人に温かさを感じさせる感情は主に3つ。
①共感:その人の身になって考えること
②親しみ:馴染み深くなる、似たものであること
③愛:誰かに溢れんばかりの温かい感情を抱くこと
私達は初対面の人に出会ってからわずか10分の1秒の内に、相手が「温かい人」かどうかの判断を下し「強さ」も判断する。
この「強さ」と「温かさ」のイメージには決定的な違いがある。温かさは、たった一度の思いやりや仲間意識に欠ける行為によって、それまで与えていた「温かいイメージ」が永遠に失われてしまう可能性がある。一方「強さ」のイメージは、たった一度強さを見せつけただけで、「強い人」というイメージをしばらく定着させる事ができる。目指すべきは「強さ」と「温かさ」を兼ね備える事である。
「強さ」と「温かさ」をアピールする方法
私達が判断に用いるシグナルの内訳は、視覚情報(表情やジェスチャー)55%、聴覚情報(声の調子)38%、言語情報(発話内容)7%の割合である。つまり、人々の感情を物語るのは、発話内容ではなく非言語行動である。つまり、人々の印象を左右するのは、具体的に何を言ったり、やったりしたかではなく、表情や身のこなしといった視覚シグナルによって何を伝えたかである。
・背筋がピンと伸びた姿勢 → 強さ
・手や肘を胴体からできるだけ離す → 強さ
・両腕をふわっと広げたポーズ → 温かさ
・笑顔 → 温かさ
・アイコンタクト → 温かさ
・低温の声 → 強さ