恋愛ゲームで、年商100億円を達成するゲーム会社ボルテージのヒットコンテンツをつくり出すノウハウを紹介している一冊。
■恋愛ゲームで売上100億円
ボルテージ創業は1999年。当初は、様々なモバイルコンテンツを展開していた。そして、2006年「女性向け恋愛シュミレーションゲーム」という新しいジャンルを生み出し、次々とゲームを企画し、開発し、成長を遂げていく。
ユーザー数は累計2600万人にも及ぶ。恋愛ゲームをスタートさせてから8年と考えると、年間300万人以上がゲームを楽しんでいる。2006年以降は、毎年コンスタントに売上高を約3割ずつ拡大させ、8年連続増収増益。2010年には東証マザーズに上場、2014年には売上高が100億円を突破した。
この会社が成長できている理由は、毎年のように新しいコンテンツとしての恋愛ゲームを市場に送り出せているからである。2013年は6本、そのほとんどがスマッシュヒットになる。継続してヒットが出せる「仕組み」を、この会社は作り上げている。
恋愛ゲームをスタートさせた2006年には13億円だったボルテージの売上高は、2007年に20億円、2008年に28億円、2009年に34億円、2010年に44億円と急激に拡大し、2014年には100億円を突破した。
この背景にあったのが、クオリティの高いドラマ性のある恋愛ゲームを次々に市場に投入した事だ。その数は年間6〜10本にもなる。ボルテージのゲームは、基本的にすべてオリジナルのゲームである。どこかに原作があって、その原作をベースにゲームを作っていく、というものではない。
ボルテージがオリジナルのゲームを次々と作る事ができる理由の1つが、ゲームを作り上げる「仕組み」が確立されている事である。ボルテージに入社してくる大学卒の若者に、すぐに即戦力として働いてもらうため、いきなりそこそこ売れる恋愛ゲームを作れるようにするために、その仕組みを作ってきた。
教科書のようなものを作ったり、フォーマットのようなものを作ったり、それを整備する事で、クオリティに大きなブレが出る事なく、誰でも作れるようになる。アイデアが出せるようになる。
クリエイティブの世界では、実は型を作る事こそ重要。「型」を追求するのは、それがスキルを高めていく事につながるから。ゲーム会社でも長く残っている会社はみんな「型」を持っている。スクウェアといえば『ファイナルファンタジー』、コーエーは歴史ものばかりやっている。コナミはスポーツに強い。結局、「型」がある。逆い言えば「型」が作れなかったところは、ヒットを出せても繁栄は長く続かなかった。
型を確立させ、その上にロジックのあるアイデアを乗せていく。そのために「仕組み」作りに挑んでいた。そして、シリーズ化にこだわった。
著者 上阪 徹
1966年生まれ。フリーライター アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、95年よりフリー。 経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆や インタビューを手がけている。 インタビュー集に『プロ論。』シリーズは累計40万部を超えるベストセラーになっている。
帯2 評論家 宮崎 哲弥 |
帯 ドワンゴ取締役 夏野 剛 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 恋愛ゲームで年商100億円? しかも、東証一部上場? | p.1 | 3分 | |
第一章 累計2600万人。女性が夢中になる「恋愛ゲーム」とは | p.15 | 14分 | |
第二章 「ゲーム」ではない。「映画」がヒットの秘密 | p.39 | 14分 | |
第三章 「働く女性に癒しの場を」女性目線からヒットが生まれた | p.63 | 17分 | |
第四章 新卒でもヒットを生み出せる数々の「仕組み」 | p.93 | 26分 | |
第五章 31歳で執行役員へ。若手女性の活躍。 | p.139 | 23分 | |
第六章 給料より大事な、社員を育てる「環境」づくり | p.179 | 9分 | |
第七章 日本のコンテンツで世界一に。海外展開への挑戦 | p.195 | 14分 | |
おわりに | p.219 | 2分 |
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