脳はポジティブな体験を繰り返すことで、変化し、より幸せを感じるようになる。神経学者である著者が脳の特性を解説し、ポジティブな体験を自らに簡単に取り組む方法を解説しています。
■内面的強さを育てる
人の内面的強さには、ポジティブな気持ち、良識、誠実さ、内的な安らぎ、固い意思、温かな心、思いやり、愛着、EQ、レジリエンスなどがある。つかの間の心的状態とは異なり、内面的強さは安定した特性であり、幸福や賢明で効果的な活動、他者への貢献などの持続的な源泉となる。
内面的強さは、幸せと愛に満ちた実りの多い人生の基盤となる。平均すると、人間の強さの1/3は遺伝に基づいた気質や能力、気分、性格特性に組み込まれている。残りの2/3は時間をかけて発達していくものである。それらは、育てる事で自分のものになる。
脳は学習する器官であり、体験によって変化するように設計されている。私達が繰り返し感じる事、触れる事、望む事、考える事は、ゆっくりと神経構造を変化させていく。これは体験に依存する神経可塑性と呼ばれている。
良いものの取り込みとは、ポジティブな体験を潜在記憶の中に慎重に内在化させる事である。それには次の4つの簡単なステップがある。
①ポジティブな事を体験する
②それを強化する
③それを吸収する
④ネガティブなものとポジティブなものをつなぐ
大抵のポジティブな体験は比較的短時間の穏やかなものである。しかし、それらを1日に6回ほど、1回に30秒もしくはそれ以下でも構わないので、取り込みを繰り返すと、それらはやがて、非常に有意義なものになる。一見ありきたりに見える体験の秘められた力を利用して、見た目より簡単なこの方法を実践していけば、レジリエンスを育み、苦悩を癒し、機能不全を修復し、人間関係を改善し、健康を増進させ、永続的な幸せを培う事ができる。
著者 リック ハンソン
カリフォルニア大学バークレー校 グレーターグッド科学センター シニアフェロー ウェルスプリング神経科学・瞑想知研究所創設者。オックスフォード大学、スタンフォード大学、ハーバード大学などでの講演に加え、世界各地の瞑想センターでの指導経験をもつ。16歳でカリフォルニア大学ロサンゼルス校に入学し、成績最優秀で卒業。
帯 オックスフォード大学教授 マーク・ウィリアムズ |
帯2 カリフォルニア大学デービス校教授 ロバート・エドモンズ |
帯3 セラピスト ビル・オハンロン |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.4 | 3分 | |
第1章 良いものを育てる | p.16 | 12分 | |
第2章 ネガティブなものほど脳に残る | p.34 | 14分 | |
第3章 「緑」と「赤」 | p.54 | 21分 | |
第4章 「HEAL」で自分自身を癒す | p.86 | 16分 | |
第5章 ポジティブな体験に気づく | p.110 | 14分 | |
第6章 ポジティブな体験を創る | p.130 | 20分 | |
第7章 脳を構築する | p.159 | 14分 | |
第8章 花が雑草を押しのける | p.180 | 20分 | |
第9章 活用法 | p.210 | 24分 | |
第10章 二一の宝石 | p.245 | 50分 | |
あとがき | p.319 | 2分 |