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2015/05/19更新

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

184分

6P

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人工知能は人類を超えるか

これまで人間だけの強みであった「自ら学んで成長する能力」を人工知能が身に付け始めた。近年、急速に進化している人工知能の現状と問題について紹介されている一冊。


■AIの技術革命
人間の領域がどんどんコンピュータやAI、ロボットなどに侵されようとしている。将棋や囲碁のような伝統的ゲームはもとより、IBMのAIコンピュータ「ワトソン」が企業の経営判断や銀行のコールセンター業務などに導入され、グーグルや世界の自動車メーカーはドライバーのいらない自動運転車の開発を急いでいる。米国の通信社や出版社では文書作成ソフトが自動で記事を書く時代になり、日本の国立情報学研究所では東大入試にチャレンジするコンピュータを開発している。

こうしたコンピュータ科学やAIの爆発的な発達を促している最大の要因が、AIの一種である「ニューラルネット」の技術革命である。ニューラルネットは「私達の脳を構成する無数のニューロン(神経細胞)のネットワークを工学的に再現したAI」と言われてきた。しかし、これは実際には脳をお手本にしたのはシステム全体のごく一部に過ぎず、残りの大部分は数学的なテクニックの集合体だった。動作速度は遅く、応用範囲も個別の用途に限られていた。

超短要約

「ディープラーニング」は、人間の頭脳を構成する神経回路網を人工的に再現した「ニューラルネット」の一種である。そこには大脳視覚野の認識メカニズムに基づく、一連のアルゴリズムが実装されている。

ディープラーニングはここ数年の間に、それまで停滞していた「画像認識」や「音声認識」などのパターン認識技術を飛躍的に進化させた。ディープラーニングの内部メカニズムについては、その専門家にも、まだ不明な点が数多く残されている。複雑に入り乱れる人工の神経回路網のどこをどう情報が伝わって、ディープラーニングが何らかの学習成果を導き出すのか。この点についてはまだ十分に解明されていない。この未知の部分が大きければ、その分、人間の予想もつかない成長を遂げる可能性がある。

著者 小林雅一

1963年生まれ。KDDI総研リサーチフェロー 東京大学大学院理学系研究科を修了後、総合電機メーカーや雑誌記者などを経てボストン大学に留学しマスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。

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津田塾大学教授 萱野 稔人

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 3分
第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧 p.13 33分
第2章 脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか p.71 37分
第3章 日本の全産業がグーグルに支配される日 p.135 29分
第4章 人間の存在価値が問われる時代 p.185 34分
おわりに p.244 2分

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