クラスの85%の生徒がいつも、テキサス州の統一テストで90点以上をとるという国語教育のメソッド。いかに子供の自主性を尊重し、読書の習慣をつくるのかを紹介しています。
■子供に好きな本を読ませること
上から押さえつけて命令しても、読み書きの技術は身に付かない。職人の弟子がそれぞれ技術を磨くように、各自が主体的に練習できる場所が必要である。
大人がやるべき事は、子供の情報源になってあげること。教壇に立って知識を垂れ流すのではなく、彼らが学びやすいようにうまく導いていく事である。適切な導きのもとで、彼らが自分の力で文章を読んだ時に、はじめて読解力は自分のものになる。
世の中の成功した事例を見ていると、子供達は大半の時間を、1人で読んだり書いたりする事に費やしている。しかも、本を選ぶのは大人の役目ではない。大人のヒントを頼りに、子供達自身が読みたい本を選ぶのである。
まずは子供達に1冊の読書ノートを渡し、自分が読んだ本の記録をつけてもらう。さらに本を選ぶための手がかりとして、ジャンルごとのブックリストをつくり、各ジャンルから最低1冊は読むという課題を与える。また、読んだ本については、内容のまとめや感想文を書かせるかわりに、皆の前で面白かったポイントを話してもらう。
子供の中に眠る読書家の資質を目覚めさせるためには、何よりもまず、好きな本を選ばせてあげること。いろいろ説明してからではなく、まず最初に選ばせてみる。どんな本を選んだとしても、間違いではない。自分で本を選ぶ事は、子供達の自身とやる気につながる。与えられたものをこなすのではなく、自分で決める。それが読書への興味をかき立てる。
子供をコントロールしても学びは生まれない。子供達にかわってすべての意思決定を行い「あれをやれ」「これをやれ」と命令すれば、表面的にはうまく教えているように見えるかもしれない。しかしそんなやり方では、子供達は成長できない。命令に従うのはうまくなるかもしれないが、自分で読書をするための能力もモチベーションも身に付かない。
読書は本来、自由なものである。学校でやる事ではなく、自分で好きなように進めていくものである。読書を学校に縛り付ける事は、その後の人生にとって何の役にも立たない。
著者 ドナリン・ミラー
アメリカ・テキサス州国語教師 小学生の子どもたちに読書の楽しさを教えている。慣習にとらわれない自由な国語教育がブログを通じて話題になり、講演やワークショップなど、全米各地で引っぱりだこに。子どもたちが一斉に同じ本を読んでテストをやるという従来の教育に異を唱え、「好きな本を」「年間 40冊以上」読むという方針で高い成果を上げてきた。 2010年度にはテキサス州ベストティーチャー賞の最終候補に選ばれた。著者の多読メソッドは、子どもたちを読書好きにするだけでなく、州の統一テストでトップクラスの成績を上げさせることに成功している。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊ダイヤモンド 5/16号 [雑誌] 花まる学習会代表 高濱 正伸 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.8 | 1分 | |
第1章 魔法の授業が生まれたところ | p.19 | 8分 | |
第2章 誰でも読書好きになる素質がある | p.35 | 16分 | |
第3章 みんなが本を読みたくなる場をつくる | p.69 | 10分 | |
第4章 大好きな本に出会う力をつける | p.89 | 18分 | |
第5章 大人が読書のロールモデルになろう | p.127 | 10分 | |
第6章 学校教育のおかしな常識を捨てよう | p.147 | 16分 | |
第7章 いつまでも本が好きでいるために | p.181 | 10分 |
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