一緒に仕事をする人を選ぶ
プロジェクトにおいて人選びをする時、この人と行ったら何かが起こるだろうというワクワクを感じさせてくれる人を起用する。表現というものには正解がないからこそ、どこに向かっていくのかはそこに集まる人間の見えない何かがつくる気の流れが決めていく。写真家であれば写真が撮れるし、絵描きであれば絵が描ける。とはいえ、決して誰でもいい訳ではなく、プラスアルファで何かが欲しい時に「その現場でどんな事に出会いたいか」という事を大事にする。そのためには現場に誰と一緒に行きたいと思うかが、人選びの大きなポイントになる。
徹底的な一人会議からアイデアは生まれる
1つの依頼に対してたくさんのアイデアを出していくのは当然だが、そのアイデアが出揃ったあたりで、最後に目をつぶってその全部を思い浮かべ、自分の中で会議をする。その時の自分の数は20人以上。その人達は本当にいろんな意見を言い合う。広告を見る人達はもっと多数いて、それぞれ違った価値観を持つ人達。だからあらゆる視点で会議をして、あらゆる可能性をシュミレーションする事は大切である。
その一人会議を徹底的にやった後は、心の中でその全部の案を1つずつ、手の中でギューッと掴んで、パッと手放す。それをやっていく内に、手放しても落ちないものが、必ず1、2個手元に残る。それは自分の身体に既に入ってしまっているもの。結局、そうやって最後に選択するのは、頭ではなくて「心」であり「身体」。だからそれは既に自分が本能的に向かいたい生き方としっくりと1つになっているものなのである。
アイデアの「最後の一滴」を絞り出す
アイデアは誰でも出す事ができる。日々、見ているもの、聞いているものがある限り、アイデアは絶対に出てくる。ただ、それが面白いか面白くないかだけであって、皆、面白くてすごいアイデアを出そうとしているから、アイデアが出ないと思っているだけである。しかも、そのアイデアが面白いかどうかを自分の中だけで判断してしまっている事も多い。
自分のアイデアは人に話しまくる。その中には皆が困ってしまうようなつまらないものもある。しかし、相手の表情を見て思い付いた事を話して、またその反応を見て再度確認したりする。面白いから発言するのではなくて、とにかく外に出してみる。
以前、Mr.Childrenの桜井和寿さんがこう言っていた。「最後の尿漏れが一番素晴らしい」と。音楽をつくる時も同じ感覚があるそう。アイデアも出し切っているから最後の、ずっと深いところにあるものまで出せる。その他のものを出し切っていなければ、最後の一滴は出す事はできない。
アイデアはどこにでもある。しかし、それを入れるためには空っぽにしておかなければならない。そのためにも、アイデアが生まれたらどんどん出すのである。