キズナ、ワンアンドオンリーで2年連続で日本ダービーを制したオーナーブリーダーが、馬づくりの秘訣を紹介。いかにして強い競走馬をつくるのかを語っています。
■運は、誰のところにもある
2014年6月1日、第81回東京優駿(日本ダービー)。3年前に生まれた7123頭の頂点に立ったワンアンドオンリーは、北海道新冠のサラブレッド生産牧場「ノースヒルズ」で生まれた。前年のキズナに続き、ノースヒルズの生産馬が日本ダービーを連覇した。
牧場を持ったのは1984年。競走馬のオーナーでもあり、生産者でもある「オーナーブリーダー」になって30年でダービーオーナーになる事ができた。「運がいいですね」と、よく人に言われる。しかし、そんな事はない。運は、誰のところにもある。ただ、決断と実行力で、それをつかみ切れるかどうかの違いがあるだけだ。
人は努力を運と言う。陰で流した努力を知らない人には、単に運のいい男にしか見えないだろう。だが、最初から運を持っていたのではなく、試行錯誤を繰り返し、運に出会う事のできる道を探し、そして、ようやく見つけ、つかみとったのだ。
馬づくりでも「シンプル・イズ・ベスト」をよしとする。わざわざ難しく考える必要はない。世界トップレベルのスペシャリストが、自分達より進んだ方法を提示してくれるのなら、それに従えばいい。
「スペシャリスト」を使いこなす「ゼネラリスト」である事を心がけている。各自が自分の役割をしっかりと認識し、その業務のプロフェッショナルであること。その上に立つ者は、全体を把握し、進むべき道筋を明確に示す事が重要である。だから、常に「ぶれない」事を意識している。途中で失敗があったとしても、その道が正しいと信じる限りは、失敗の原因を精査し、挑戦を続ける事が大事だ。
失敗の連続だったが、失敗を恐れず、挑戦し続けてきた。「挑戦する心」が理念である。成功するまで諦めない。成功してもその結果に満足せず、さらに進化を追い求める。チャンレジとはそういう意味である。
著者 前田幸治
1949年生まれ。アイテック株式会社 代表取締役 株式会社ノースヒルズ 代表取締役 34歳で馬主となり、1984年、北海道に生産牧場、現在の株式会社ノースヒルズを開設。現在、JRA登録馬は160頭以上、GI通算26勝という驚異的な成績を収めている。
帯 騎手 武 豊 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 2分 | |
第1章 ゼロから牧場をつくる | p.11 | 22分 | |
第2章 「北の生産拠点」ノースヒルズ | p.53 | 19分 | |
第3章 「美しい前線基地」大山ヒルズ | p.89 | 21分 | |
第4章 優駿たち | p.129 | 12分 | |
第5章 ダービー連覇 | p.151 | 23分 | |
第6章 「世界で戦うために」ホースマンとして | p.195 | 12分 |