本質思考のステップ
①モデルを描く
現象の裏にひそむモデルを読み解くとは、絵的な発想でシンプルに、最も大切な事を抽出し、その全体を描いてみるという事に他ならない。大事な事は、実際に手を動かしてヴィジュアル的に表現する事で、考えを深化させる事だ。
モデルを描く上での条件は次の2つ。
・考えるべき要素と因果関係が含まれていること
・モデルの全体像を1枚の紙に描ききること
モデルを考える上でのヒントは次の3つ。
・5つの構成要素(「インプット元」「アウトプット元」「競争関係」「協調関係」「影響者」)から多面的に捉える
・階層構造を考える
・因果関係に注目し、相関関係は無視する
②ダイナミズムを読み解く
現象を生み出すモデルが見えて来たら、そのモデルがこの先どのような振る舞いを生んでいくのかを発想していく。ダイナミズムを考えるとは、時間軸を入れ、その時間軸に沿った発展の方向がどこにいくのかを考え、意識する事である。
ダイナミズムには「エスカレート」「成長・減衰」「目標への到達」「Sカーブ」「ライフサイクル」「振動」といった、いろいろなパターンが存在する。スジの良い答えに辿り着くためには、大きくパターンを捉える必要がある。
ダイナミズムを考えるポイントは次の4つ。
・ストックとフローを分けて考える
・物事を非線形(比例関係にない)で捉える
・作用・反作用を考える
・各要素の視点から何手か先まで考える
ダイナミズムの読み解き方は次の3つ。
・変局点(潮目)を考える
・相転移(相の変化)を考える
・相を大きく変える根源的ドライバーを特定する
③モデルを変える打ち手を探る
問題を本質的に解決するには、必ずモデルにまで立ち戻る必要がある。なぜなら、現象を変えても,モデルが同じである限り、結局は元に戻ってしまうからだ。モデルを変えるためには、レバレッジポイントを見つけ、モデルを変えていく事だ。レバレッジポイントは、根源的ドライバーに関係していたり、モデルの中のストック的な要素であったりする事が多い。
レバレッジを効かせた打ち手を探る上でのヒントは次の5つ。
・前提条件を鵜呑みにしない
・原因と結果は近接しているとは限らない
・考える範囲を広げ、関係しそうな要素が十分にカバーされているか自問自答する
・目の前の問題から離れ,視座を上げてみる
・「どうやって考えるか(考える手順や判断基準)」を考えてみる
④行動し、現実からのフィードバックを得る
十分考え抜いて、レバレッジポイントが見えてきたら、その考えを人にぶつけてみる。実際に自分が考えたモデルやダイナミズムの精度を検証し、現実からのフィードバックを得てそれを高めていく事が、本質思考のアプローチである。